鈍色の雨が降る日、自分の知らない場所を求めて出掛けた沙羅が立ち止まったのは、今まで興味を持ったこともない、ある画家の個展会場だった。ただの好奇心から入ったその中で彼女は一点の虹の絵と出会う。初めて見たはずのその絵に抱いた懐かしいという感情が、柳瀬沙羅と画家・花井十夜の出会いだった。
最初に、裁判のニュースからです。 一方的に惑星の資格を奪われたのは、天体としての主権をないがしろにするものだとして、地位保全の訴えを起こしていた、いわゆる『冥王星裁判』ですが、星界最高裁判所はこの訴えを棄却し、半世紀に及ぶ裁判は…
世界には天王宮を中心として、北に玄武、東に龍、西に虎、南に朱雀の四つの国がある。各国は海によって隔てられ、それぞれの王は世界を統べる天帝に任命される。200年の昔、騒乱の戒めとして、天帝は、各大陸間の渡航を禁止した。勅命により鎖国を続ける4ヶ国。しかし一方で、閉鎖的な世界に反発し、海運に利益を求める者が現れる。そして遂に玄武の王が、龍に侵攻した。