ゆるめのSF短編集です。 物置小屋の宇宙人。山奥の異邦人(犬)。発電所の裏で発見された肉食魚。働くロボに、遊ぶロボ。感傷的な断片も少々入り混じりつつ、やや古めかしい雰囲気のもので構成されています。
最初に東京上空を飛行するUFOらしき物体を発見したのは、交通事故を取材に行く途中のテレビ局のヘリだった。UFOの形はいわゆるアダムスキー型で、物理法則を無視したかのような急停止・急発進を繰り返していた。ヘリの乗組員はとりあえず警察と自衛隊に…
地下の社員食堂で遅めの昼食を終えると、元田は真っ直ぐに休憩室に向かった。勤務中はほとんど吸えないため、煙草への飢餓感が募っていた。休憩室に入ると、奥の一角が透明のブースで仕切られている。中に先客がいるのが見えた。同期の衣川だ。「やあ」「おお」…
痛みを感じながらも、それでも王様は生きてゆく。クジラの真実と、優しさを感じ、以前よりも逞しくなった王様の大冒険。