星を食べちゃった王様

星を食べちゃった王様


星を食べちゃった王様に 大事件が起きました
喉に詰まった星屑が いつまでも取れず うめいている王様
その星屑を溶かす方法は たった一つしかないと
王様は本で調べました それはすごく難しいことでした


ずっと海に住んでいる はるか北のほう クジラの王冠に触ること
クジラは優しいけれど 王冠は大切な宝物だから
触るなんてもってのほかだ さあどうする王様?
おしゃべりなペットのうさぎが 王様に問いました


王様はまたしもうなります でも それでも
行くしかないだろうと王様は決意しました
うさぎのルルも一緒にクジラに会いにいくことになりました


不思議と寒くない海の上で クジラを待つことにした二人
夜にしか顔をださないクジラ 今二人は夜のしずかな海に立っています


とその時
ジャブーン!!
おおきなおおきなクジラが目の前に現れました


おしゃべりなルルはおそろしさのあまり 王様の肩に乗りかかりました
クジラは二人を見つけ おおきく身震いしてこう云いました
「わしは優しいが、王冠には触らせんよ」
王様は必死にクジラにお願いをします 
「わたしの喉を治してください」「お願いします」


そうして王様の頬は涙で濡れました
クジラはそんな王様を見て こう云いました
「なぜ、星を食べたんだい?」
涙で濡れた王様はずっと胸にしまっていたひみつを打ち明けました
「わたしには願い事があります。夜、星の見える日にはずっとずっと星に願い続けていました
しかし、星たちはわたしの声など、聞こえていないのじゃないかと嘆く日々もありました。だから
星を食べたら、願いが叶うんじゃないかと思ったのです・・・。」



クジラはう~むとうなりました。王様はとうとう大声を出して泣き出しました



クジラはそんな王様を見て、優しくこう云いました
「王様よ。星は願いを信じ続ける人をちゃあんと見ているものだよ。」
王様は目を潤ませながらクジラの云うことを考えてみました


王様は涙をぬぐってこう決意しました
この喉の痛みを抱えながら それでも願い続けるんだ



クジラの王冠に触れなかったけれど 王様とルルはクジラと話をして
すこし明るい気分になれました
クジラとさよならをし お城へ帰りました



お城についた王様は 喉の痛みに耐えながら毎日毎日 星に願いました
そんな王様は以前にくらべて 逞しくなったようでした



あくる日 星に願い事をして 眠りについた王様
すやすや眠っているときのことです
外が急に騒がしくなり 夜なのに煌々と明るく光りだしました
王様はその明るさにびっくりして 起き上がりました

おそるおそる窓に近づくと 
なんと あのクジラが夜空を泳いでいるではありませんか!
そうです。クジラは天国に召されるころでした。
王様は煌々と光りながら泳ぐクジラを見て、また涙をほろりと流しました。
とおくの方からクジラが鳴きました



そうして朝がやってきました。
王様は喉の痛みがすこし和らいでいることに気づきます 
まだすこし痛みはあるけれど 王様はとても幸せな気持ちになりました
こうして王様は すこしの痛みを抱え 星の見える日にはいつも願い続けました


いつしか王様は 星に願い事をする時間が楽しくてうれしくて仕方ないくらいになりました
今日も王様は星に願い続けます



おしまい

星を食べちゃった王様

星を食べちゃった王様

痛みを感じながらも、それでも王様は生きてゆく。クジラの真実と、優しさを感じ、以前よりも逞しくなった王様の大冒険。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-06

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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