璃紗子はウィーンの旧市街で夫のゲルストルとパートナーを組んで人間彫像という大道芸を演じている。八月のある日、彼女は海棠が車で拉致されるのを目撃した。彼女にとって、海棠は憎んでもあまりある男だった。美術留学生としてウィーンに来た彼女は三年前に彼によってへロイン中毒に陥れられ、辛酸を嘗めざるを得なかったのだ。昨年ゲルストルと出会い、やっと落ち清いた生活を取り戻し、新たな表現に意欲を燃やしている。 翌週の新聞に、ウィーン郊外の無縁墓地で東洋人の死体が発見されたという記事が掲載された。彼女はその死体は海棠のものだと直感した。それを確かめるために周辺を探っていくうちに、海棠の行動のやむを得ない理由が明らかになっていく。また、璃紗子が通所している麻薬中毒者支援センターを舞台にした密売が暴かれていく。
大越美佳という女子大生が集団自殺をした。両親はその死に不審を抱いたが、警察では事件として取り扱ってくれなかった。両親は興信所に調査を依頼し、平田と原島塔子が担当となった。調査のなかで、自殺予防のホームベージを主宰している神居という男が疑惑の主として浮かび上がってきた。神居も探偵だった。 そこで、塔子は藪瀬瑠璃という鬱病患者を装い、親が自殺念慮の強い娘を案じて、神居に対して娘の行動調査と安全確保を依頼する形を偽装した。それと並行して、塔子こと瑠璃は神居のホームページにアクセスして、登録制のチャットルームのメンバーになった。 こうして、瑠璃は不安定な精神状態にある姿を神居に監視させるとともに、平田が神居の行動を追尾した。平田の追尾により、神居の闇の部分が暴かれていく。
遠い遠い昔。 高校2年の夏。「僕」を襲った連続する恐怖体験。 紅緋色に光るものとは? ジャンルでいうとミステリー・ホラーというところでしょうか。
SF的なワンアイディアで短篇を書こう。そう思いついて書いてみた作品です。 「厨二病」と呼ばれる病気が蔓延した日本を舞台に、普通の男女の普通の恋を綴った物語です。 幼い頃から一緒だった二人。 気づかずに育っていた、相手への思い。 しかし、「厨二病」が二人を引き裂こうとする。 二人の出した結末は。
人と人との繋がりがなくなっている現代。 親が我が子を思う気持ちや、子が親を大事にする。 友人を助けたいと行動を起こす。 そんな当たり前に思える気持ちがなくなってきている事に憤りを感じています。 それは、何故なのかを考えながら、文章を書いています。
実話をもとにした話です。 今回の主人公は、野草を食べる女の子の小さな恋の物語。 過去にブログで掲載していたものを、改めてリメイクしてみました。 まずは、第一章です。 第2章も完成しました。 ちょこちょこと更新していきます。
大学生として退屈な日々を送っていた野村達矢(のむら たつや)。 そんな彼の元に、ある日、不審な郵便物が届く。 中身を確認してみると、テレビのリモコンのようなものが入っており、人を操作することのできるリモコンである、という旨の説明が添えられていた。 人と違う力を手に入れた彼はどのような人生を歩んでいくのか。。。
繰り返せたら、あなたは、誰に会いたいですか? 何を伝えたいですか? 俺が死んでしまうのは決まってることだけど、最後に。 最後に、ひとつだけ、君に--。 死を約束された少年と、 幼馴染の死に魘される少女。 二人は繰り返す。 死が、二人を別つとしても。
Lime AND Mint と呼ばれるカフェの二人の店員は妖怪退治を本業としている。 ある日、伊丹朋哉が一人で店番をしていると買い物から帰ってきた明石陽が花見朋という少女を連れてきた。 花見は妖怪に襲われているところを明石に助けられたのだ。 身を守るためカフェに泊まるが、その妖怪が現れて………。
男が家に帰ってきたら妻と子供がいなくなっていた。 男は妻との生活、会話、を少しずつ回想し、いなくなった原因を考え始める。 段々と滲み、ぼやけ、そして崩壊する外と内の世界の境界線。 そして内の世界から境界線を越えて出てくる真実。 精神の世界と外の世界をシームレスに行き来する意識の流れで描く男の崩壊。