カウンセリングのように悩みを打ち明ける部屋に赴く僕。深い皺が刻まれた老人が応えてくれる。 けれど、それがいつもとは何かが異なる。 ぼくは僕を話しているはずなのに、老人の彼は僕ではない何かと話しているかのように、噛み合ない。かみ合っていると思う僕と訝る僕。 若く、そして平凡だと、それを長年願っていた僕は面倒から避け、波風を立てないように引きこもっていた、溶け込もうとしているだけであったこと。 深い皺が刻まれた老人は、その「僕」の仮面の下にいる、自分自身を露にするために尽力尽くしていた僕自身の一部であった。
泥棒を生業としている天ノ宮周典は、かつて友人に御用になったこともどこ吹く風と懲りもせずに盗みを続ける。 そんな彼に起こった、一つの不思議なお話。
化け物は思う。幸せはつらいんだと。 化け物のなりそこないはつぶやく。幸せは何故あるのだと。 化け物達の一生をかけた青春は何を残し、何を奏でていくのか 心が冷たくなり、暖まる青春ストーリーをあなたに・・・