名も無き物語達
小さい頃から時々思うことがある。
トイレに入って、用を済ませた後トイレの扉を開けるときに
この扉を開ければ別の世界がそこには待っているはずだと、淡い妄想を抱いては扉を開けたりする
だが、別に何も変わらない・・・
見慣れた風景が私をいつものように向かいいれてくれるだけだった
そんな私が中学生になった
思春期真っ只中の妄想には際限は無くいつも学校では授業中寝たふりをしては
一人妄想にふっけていた
寝たふりをしたのは、ただ単純に目を閉じていると妄想するに楽だったからそれだけだ
あるときは、漫画の主人公
あるときは、映画の主人公
あるときは、大人になった自分の理想であったりと
頭の中のスクリーンは常に上映中だ
朝起きてから、眠りにつくまでの間、幾度となく繰り返される
友達はいない
友達がいないことが寂しいと思うけど、一人でいるほうが楽だった
だからどんどん孤立していく
小さいときから、そうだったから自分で架空の友達を頭の中で描き、会話をして遊んだりもした。
その当時は姿、容ははっきりと頭の中では見えていた
それどころか、声までもが聞こえていたりもした。
そこまではっきりとした存在を作り出しておいてその彼に私は名前をつける事が出来なかった。
良い名前が浮かばなかった、といえばそれまでなのだが
なぜだか、名前をつけたくはなかったのかもしれない。
(続く)
名も無き物語達