化け物
これはこれは普通の幸せを求めた化け物の話。
自分たちの幸せは違うのだろうか。
深い深い英国の森。ここで名家の子供が産まれた。赤い瞳の赤ん坊は牙をくっと出す。普通なら体を強張らせるほどの出来事に彼らは拍手と最高の笑顔を送ったのだ。彼らもまた赤ん坊と同じように・・・
「バンファ!こちらに!」
最高の公達をみせた女性はニコニコで少年に手招きをする。
「なんですか?お母様。」
冷めた口調、冷めた目、またもや公達の良い顔だ。10歳程度の少年だ。
「人と同じ学校にいきなさい。」
少年は期待に期待をするように母に歓喜の声をあげる。
「それは・・・人間と同じ・・・人間といれるという事ですね!お母様!」
ギリっと母は少年に近づく。甘い、甘い声で期待を裏切らないような声で
「そうよ。あなたは人の血を吸って生きるの」
ここは英国の貴族の家。森深くといっても家はかなりの創りの豪邸。正直隙間風なんて入るとは思えない。だが少年は思った。ここは・・・人間が住むところではないと。
-化け物の住む家なんだ。
人の血なんて吸いたくない。吸うことも考えたくない。人の首筋が俺にはおぞましく思える。
人々が行き交うこの東京は暑い。今日は10月にはいったのに残暑がかなりきつい。スーツのサラリーマンも衣替えだっていうのに上着を脱ぎ片手に抱える。女子高校生は暑苦しくべたべたとくっつき
歩いている。何をしゃべっているのだろう。理解はできない。
スクランブル交差点でとまる中2病、スタバで高級ぶっている主婦。ここは俺にとっての居場所。慣れてしまった居場所。
たとえ・・・こいつらと違う種類でも。
かごめかごめかごのなかのとりはいついつでやるよあけのばんのばんにつるとかめがすべったうしろのしょうめんだれ
「何故、私はしっぽがないの?」
わからない。僕に聞くな。
「君はあるよ。2本のしっぽ。」
それは化け物だから。お前は人間だ。
「でも、おばあさんが不思議な力があるって」
でもお前は人間だ。人間なんだ。
俺はヴァンパイア。吸血鬼。化け物。幸せは首筋を滴る真っ赤な血。
幸せはあくまでヴァンパイアとしての幸せ。じゃ、俺の幸せはなんだんだ?
俺が日本にきてもう何年たつだろう。逆にイギリスにいたころの記憶が薄い。毎日、坂をのぼり、満員電車の痴漢を見届ける。そんな変わらない日々。あと一本で目的の駅のところで青年が叫ぶ。
「おい!!そんな事やっても得はない!!女性から離れろ!!」
俺は不覚にもため息をつく。普通はここで最近の若者は凄い!などという歓声を上げるべきだ。ていうかもう上がってる。
しかし俺はそれに便乗できない。その理由は
「ここに喧嘩強い奴がいるんだぞ!!覚悟しろ!」
青年が指を向けたその先は・・・・・・・・・ほら俺だ。
「青猫!!!俺を巻き込むな!!」
「ごめんって!確かにいきなりはまずかった。」
さっきの痴漢野郎を警察に突き出した。少々期待どうりの片付け方になってしまったが・・・
「毎朝、毎朝。なんでこうも喧嘩に・・・」
さきほど痴漢を見届ける。といったがここでわかるように見届けたい毎日を送っている。だがこいつ・・青猫が生きてるかぎり絶対に無理な話なわけだ。
正義感がいいのは認める。それから俺に任せるところは責任感だ。それが皆無だ。
「ほら!でも、この間表彰されてたじゃん!結果オーライ☆」
ぼこっ
普通の会話。普通の毎日。普通の体。普通の友達。
これはこれは、そんな普通を求めた化け物の話。
幸せの感じ方とは・・・・?
化け物
どうも。初心者です。
ってここにこれを書いていいのか?という疑問はぎゅうギュウにしまっておきます。
気ままに更新していこうと思います。
気ままな私と急ぎがちの時間。
わかりあえるのでしょうか?
なにか感想がありましたら、お気軽にどうぞ。
優しく!!