春は異動の季節である。サラリーマンにとって、この時期の上司や人事課の動きほど気になるものはない。「綾川係長、ちょっと、いいかな」上司の鈴村部長に声を掛けられ、デスクで伝票の整理をしていた綾川は思わずビクッとした。「あ、はい」綾川は飛び上がるように......
紗栄子が最初に感じたのは、堪らない目の痒みだった。続けてクシャミが出た。それも、普段の「へくちん」というような可愛らしいものではなく、「ぶえっくしょん!」という、おっさんのような激しいクシャミである。すぐに、ツーッと鼻水が垂れてきた......
物語作家七夕ハル。 略歴:地獄一丁目小学校卒業。爆裂男塾中学校卒業。シーザー高校卒業。アルハンブラ大学卒業。 受賞歴:第1億2千万回虻ちゃん文学賞準入選。第1回バルタザール物語賞大賞。 初代新世界文章協会会長。 世界を哲学する。私の世界はどれほど傷つこうとも、大樹となるだろう。ユグドラシルに似ている。黄昏に全て燃え尽くされようとも、私は進み続ける。かつての物語作家のように。私の考えは、やがて闇に至る。それでも、光は天から降ってくるだろう。 twitter:tanabataharu4 ホームページ「物語作家七夕ハル 救いの物語」 URL:http://tanabataharu.net/wp/
単なるわがままで頭の悪いやつの、なんかです。
販売、飲食、宿泊、営業で活躍するサービスマンにも初心者の時がありました 。 自閉症だった俺が、手広くサービス業を提携する会社に就職し、いつの間にか新人教育をすることに。 しかも、礼儀知らず、常識知らずのお嬢様。 そんな俺は、彼女と彼女たちを通じて販売、飲食、営業、宿泊、経営と異動や挫折、出世を経験していくことに…
掌編と言うより、掌編の一歩手前、掌編の『種』ならぬ言わば『苗』と言ったところです。 『間違った祈り』『竜殺し』『かぼちゃの巨人』『紙飛行機』『兎を一羽二羽と数える理由』『厄介な事件』の六本。 合計で3014文字。
円環の終焉から15年――。今様々なストーリーが動き出す これは残酷劇を終えた後の夜想曲
とある流行作家のエッセイを読んで、洋介は衝撃を受けた。林廣次というその作家の名前は知っていたが、推理小説が苦手なので今まで作品を読んだことはなかった。したがって、行きつけの本屋でそのエッセイを手に取ったのは、まったくの偶然だった......
超・占星術師 鈴木寿留女が「数百年に一度巡り会うかどうかという奇跡の関係」とまで言い放った完璧な相性のカップルが今、誕生する。その瞬間を見届けようと、彼らを引き合わせた木之元数子らは草陰から息を殺し見守っていた。様々な難局を乗り越え、やがて男女が運命の出会いを果たす。
四〇ワットの裸電球が明滅する三畳の小部屋に集まった、ゼニゴケ、ナメクジ、カマドウマ、ゴキブリ。人間から忌み嫌われ、虐げられたものたちの哀しきモノローグが交錯する。そこへ、堂々たる貫禄のビッグ・ボスが登場。座は張り詰めた空気に包まれる。