てれび

未完

女子アナ

私は毎日、朝のニュース番組を見る。
ここ一年間は一日も見逃さなかったほど徹底している。
これは生活リズムを一定に保つためであって、決して女子アナ目当てのやましい気持ちがあるわけではないことを諸君にはご理解いただきたい。
しかし、女子アナが世の男たちを魅了する理由という事実にも私は理解があるつもりだ。
時事をしっかり捉えつつ、いい女を見るというのも立派な大人の男の嗜みというもの。
色を忘れた男に女がよってくるはずがないというのが持論である。
だから、私は女子アナを見る。
女子アナというのは女子アナウンサーの略だというのは常識であるが、私が一目を置いている女装家は著書で、
「女子アナはオナペット」
だと書いていた。
曰く、女子アナとは日本男性のインテリコンプレックスとロリータコンプレックスが生み出したもの、つまり、日本男性の理想の女性像なのだと。
私は確かにその通りだと思った。
しかし、それのなにがいけないのか?
若い女のほうが外見は美しいし、男は女に見栄を張りたい生き物である。
彼女(彼)のいうことは鋭いが、ブスである。
現に女子アナたちはIT社長やプロ野球選手といった一流の男たちと結婚しているではないか。
IT社長やプロ野球選手が一流の男かどうかという議論はどうでもいいので井戸端でやってくれたまえ。
しかし、そこら辺の男たちよりは努力をしてきた男たちであることは疑いようがない。
ブスがそういう男たちと結婚しようと思っても難しいのである。
所詮は醜い嫉妬。
女子アナはいい女の代表であるために嫉妬される。
彼女(彼)がそんな風に煽るものだから、ますますかわいく見えてしまう。
故に、私は女子アナを見る。
おっと。
母が起きてきたようだ。
顔を合わすと気まずいので彼女が洗面をしている間に自分の部屋に戻るとしよう。
自分の部屋にテレビがないというのは不便なものだ。
時計を見るともう六時半ではないか。
寝る時間だ。
私はいわゆるニートなので仕事は持っていない。
ニートが偉そうにいい女だなんだと語りやがってという奴もいるだろう。
そんな奴は修行が足りん証拠だ。
もっと人生の経験値を積んだほうがいいぞ。
そもそも人はなんのために働くのか。
いろいろあるだろうが多くは食うためであろう。
私は働かなくても食うことができるのだ。
理由は親が養ってくれるからだ。
だから、働かない。
労働者が働いている時間、私は他のことに時間を使える。
この他についてはまた今度語るとしよう。
それより今は部屋に急がねば。
小言を言われてしまう。
というわけで、おやすみなさい。

てれび

てれび

ある男の日常。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-01

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