その日、島本は仕事中につまらないミスをやらかして、上司にこっぴどく叱られた。誰もがやるようなミスだったし、怒っている上司だって昔やったことがあるミスだった。ムシャクシャするので、一杯飲んで帰ることにした。 駅前の屋台に行くと…
「通勤時間は読書に限る。益田は都心に向かう電車の中で、栞を挟んだページを開く―――」 平凡なサラリーマンの日常の一コマ。そこにあるひとつのお話。
今はネットで本を買える時代だが、アツシはリアルな本屋が好きだった。ズラリと並んだ本の中から、予想もしない掘り出しものを見つけるのが楽しいのである。だが、楽しさに我を忘れると、後悔することになる。タイトルや装丁に惹かれ、中身をよく確かめもせず…