夜空に光る星②
宴の後にはお祈りを…?
謎の少年『シズク』と出会い、『星月界』について色々と託された私。
意識の中に入り込める能力、通称【意識潜在能力】––––––星月界では〈イッセン〉って呼ばれてるらしいから私もそう呼ぶ––––––を得て、1日が過ぎた。
さて…何をすればいいのやら………。
「ねぇ萌絵〜」
「…」
「萌絵?」
「…」
「ちょっと聞いてる?」
「…」
「萌絵っ!無視しないでよっ!」
バンッ–––––
萌絵は昨日の放課後から様子がおかしい。
別の友達に聞いたら、萌絵は1人で歩いて帰ってたって言うし…。
「っ!ト、トイレ行ってくる」
「萌絵…」
どうしちゃったの、萌絵…。
「ねぇ、大丈夫?」
「え?あー、うん。」
「未来さんと喧嘩でもしたの?」
「ううん…。そんなことないよ…。」
元気に振る舞おうとしても、どうしてもトーンが落ちてしまう。
ハァ…萌絵…どうしたの…?
声をかけてくれたこの子は、萌絵が歩いて帰ってた事を教えてくれた子。
名前は{神崎美央}。
美央はいつも私に優しくしてくれて、萌絵と私の仲の良さも一番知ってる子。
「ねぇ美央、1つお願いがあるの」
「なになに?」
「萌絵のスパイをしてくれない?」
「スパイ…?」
「そう。萌絵を監視してほしいの。萌絵は何か隠してるわ。もしかしたら誰かに何か言われてるのかもしれない。だから、ね?お願いよ。」
「…わかった。その代わり報酬は高いよ!」
「150円でどう?」
「いいえ、報酬は…300円!」
「倍じゃないの!…ハァ。仕方ないわね、わかった。」
「やった(≧∇≦)」
美央の思うままに報酬は倍に引き上げられた。
…美央ってホント、ずる賢いんだから。
その日の夕方、私は美央宅へ向かった。
美央に今日の結果を聞くためだ。
あの後美央に聞いてみると、3日間スパイしてくれるという。
それならそうと早く言ってくれれば、あんな変な値段つける事なかったのに。
むしろ私なら500円って言ってたと思う。
「それで?どうだった?」
「今日、始めたばかりなのにとんでもないネタ掴んじゃったよ。」
「とんでもないネタ?」
「そ!未来さんね、やっぱりある人に揺すられてた。」
テレビの刑事ドラマみたいな台詞で話を始める美央。
いつもなら突っ込むとこだけど、仕方ない、今日はおとなしく聞いておこう。
「ある人って誰?」
「新島紗江子って知ってる?」
「!?」
「その人がね、なんか、『月咲星音と本当の友達だっていうなら、あいつを本気で守りたいなら、1週間あいつを無視しろ。しなかったら、月咲星音に嫌がらせをする。そしてこの学校から追放するんだ!』とか未来さんに言ってた。」
「…そ、そう…。––––––新島紗江子はね…私が以前好きだった人の彼女で、私にそれを黙ってたの…。そして私はその人に告白して、その時に初めて知った。…私を裏切った子よ、新島は。」
神様お願い…。
どうか…どうか萌絵を…萌絵を守ってくださいっ!!
もう私と同じような目に誰も合わせたくないの…!
夜空に光る星②