いるかのほし40 ワイハハ島は、おへそ2

ワイハハ島は、おへそ2

 ボートには、ざっと30人近い人が、乗っている。
 若いカップル、仕事の休みをとって友達と旅行を楽しむ独身女性のグループ、
 ピコたちのような家族連れもいる。

 みんな、羽を伸ばしてワイハハマジックを満喫している。ボートの上まで飛んでくる波しぶきをうけて、キャッキャッと浮足立っているようだった。

 いつもは、ポーカーフェイスのココも、うれしそう。ボートの行く方向、銀色にきらめく海ををまっすぐに見つめている。
 頬にあたる風が気持ちよさそうだ。

 さっきの、男のスタッフは、船長と何かしゃべって笑っている。・・・・と、思ったら、またこっちに寄ってきた。

 「特別ですがね、他のかたといっしょに、アクテイビティーのレジャーボート、使って遊んでください。」(!!また、特別!でたあ~~!!)
 
 ボートが、速度を落とし止まると同時に、船の上からレジャーボートが投げ入れられる・・・。
 クックは、うれしそうに早速海に入る人の列に並ぼうとするが、ココとピコは、どうしようか迷ってしまう・・・。
 ここで、体力を使ってはいけないのだ。イルカにも、ウミガメにも会わないといけないのに。

 オカキとクックが、遊んでいる間、結局ピコとココは、ボートで待つことにした。せいぜい写真を撮るくらいしか、することもなかったけど、仕方がない・・・・。「いやあ、お客さんは、ラッキーでしたね。レジャーボート楽しいでしょ。」さっきの、男のスタッフが、上がってきたクックに、話しかける。

 後に、軽食と飲み物が出るときも、「このメニューは、特別パックのものですが、どうぞ、今回だけ。」と、また、恩着せがましいことを言われた。

 「!!いったい何!!!いいかげん、腹立ってきたわ!」ピコはオカキに目くばせした。

そのころ、カルイは・・・・・・・。

 「うわあ~~~~~。泳いでも泳いでも、海・海・海ぃ~~~~~~~」
 なあに、前あったイルカさんたち、いったいどこまで泳いでいったのさあ~~~~~。もう、間に合わないよぅ~~~~~。

 とうめいいるかぼしには、距離感がなかったの・・・・。
 ここっていったらここだし、あっちっていったら、もうすぐあっちでね。・・・・・・まあ、ちょっとくらい、友達のところへ行こう、なんて思ったらゆっくり動いて行ったりっていう楽しみもあるけどさあ・・・・。

 こおんなに、一生懸命泳いだことなんか、なかったよう・・・・・。あ~~~~~ん。ピコ、ピコ・・・。待って。待っててよぅ・・・・。

 ほんとに、泳いでも泳いでも、海が続いてる・・・・・。・・!!と、その時、ぼくは、いいことを思いついたの。

 そおうだ!!ワタツミサンシンのぐるぐるトンネル、ぼくが、とうめいぼしから滑ってきたやつ。あれを、出してもらえばいいんだ!!

 ぼくはね、泳ぎながらね、こうやったよ。ぷるぷる頭を、しーーんとさせてぇ、のどの変換機をきれいな形にしてね・・・。そして、
 お腹の底で、「ワタツミサンシン!!!」って、呼ぶんだ。

 そしたらね、「ほぉ~いな!!はいな!よう!!」って、すぐに、答えてくれた。「おねがいします。ぼくを、ワイハハ島のピコたち家族のところまで、運んでください!!!」

いるかのほし40 ワイハハ島は、おへそ2

いるかのほし40 ワイハハ島は、おへそ2

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-06-15

CC BY-NC-ND
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