クイーン・クラウンを盗め
拙い文章ですが、お許しください。
久しぶりに書いたものですので
手直しは遠慮なく言ってください
(第二シリーズを参考に書いたものです)
※特殊設定あり※
ルパコナ(TVver.)から数年経ったヴェスパニア王国。
サクラ女王のあとをついで女王になったミラ
今回のお宝は彼女とその母親が戴冠式で被ったクイーンクラウン。
果たして盗み出すことはできるのか?
新聞の一面に大々的にある記事が載った。
「クイーン・クラウンに危機」
「ルパン三世 クイーン・クラウンを盗むと予告状」
「おいルパン、本気か?これを盗むなんてよ....」
住宅街の一角、小さなアパートの薄暗い一室で次元はソファに腰かけている男に溜息をつきながら話しかけた。
「大真面目よぉ、次元」
「ルパン、今回は前回に加えあの大金庫に加えレーザー、重さを感知する機器、虹彩認証とまぁ盛りだくさんの様だぜ?」
次元は新聞を投げ出し、ラジオをかける。
ラジオから、静かにクラシックが流れはじめ薄暗い部屋いっぱいに広がる。
「ほぉ....確かに盛りだくさんだな....
でもよ、俺達の手に負えねぇ代物じゃねぇだろ?それとも次元、怖気づいたのかぁ?」
ルパンは挑発するようににやりと笑む。
「ば...バカいうな!
よぉしそこまで言うならやろうじゃねぇか!」
「なあ次元」
次元があいづちをうつ
「それでこそ俺の相棒だぜ」
ルパンはヌフフフと笑う
「けっ....」
「ほぉんじゃまっ、お宝を拝みに行きますかぁー?」
煙草を咥え、次元を連れて出ていく。
残された新聞には、大きくルパンの挑発的な笑みが写っていた。
それから数時間経ち、ヴェスパニアの女王の宮殿に一台のパトカーが止まった。
そして中からベージュのトレンチコートを着た大柄の男性が出てくる。
「お待ちしてました。銭形警部」
黒縁眼鏡をかけ、背筋を伸ばして待っている執事が声をかけた。
「うむ。
それで、ルパン三世の狙うお宝 クイーンクラウン はどこにあるのですかな?」
「こちらです。ご案内します」
執事は先頭に立って宮殿の中へ入っていく。
宮殿の中は広々としており、使用人たちは優雅に働いていた。
「警部、早く来てください!」
「わかっておるわ!」
その間を縫うように駆けて行った。
「警部、これが我々が用意した設備です」
目の前にはなんら変哲のない廊下が広がるばかりである。
唯、ここには人が立ち入った形跡がない。
「何の変哲もない廊下だとお思いでしょう?しかしですな....」
そういって執事はポケットからゴムボールをとりだし投げ入れる。
するとけたたましい音が響き、武装した集団が雪崩のように押し入ってきた
「何事でございますか?」
「何でもありません。戻って良し」
「はっ...」
「な....なんなのですかな?あの集団は...?」
「ヴェスパニアの警察....まぁ優雅に衛士と呼んでいますがね。
設備は他にも重さを感知する装置、虹彩認証システムがあります」
執事はそれらの装置を一旦解除し、銭形を連れて奥へと進んでいく
「これが大金庫です。ルパン三世に破られて以来、警備を更に強化しました」
そこには銭形の背を上回る大きさの純金の金庫があった。
「中はICPOと言えども入れさせません。
周りは常時数人の屈強な警備員が配備されています」
「なるほど....蟻の子一匹入れないというわけですな?」
銭形はパッと廻りを見渡す。
警備員はそれぞれ無表情で金庫とその周辺に目を向けている。腰には小型の銃を携えて。
「今回は特別にお見せしましょう」
執事は金庫の鍵となるサクラ女王の眼球のレプリカを近づけ、扉を重々しく開いた。
その中にあったもの...それは各所に色とりどりの綺麗な宝石が散りばめられ、黄金に輝く クイーンクラウン
「これまた凄いですな...」
銭形はあまりの美しさに感嘆の声をあげる。
「我が王室家に建国当時から代々伝わる王冠だと伺っております」
執事は再び扉を閉め、ロックする。
「これがルパン三世から届いた予告状であります」
今度こそ クイーンクラウン を頂きに参上
ルパン三世
「うぬぬぬ....ルパン!」
銭形は闘志に燃えた
ところ変わってルパンのアジト....
「作戦はこうだ。
まず不二子がメイドに化けて潜り込む。
そして宮殿の電気システムをダウンさせる。
その間に実行する。
自家発電に切り替わるまで1:30秒
その間に五エ門ちゃんの斬鉄剣でババーッとやってちょうだい!」
「承知」
「決行の時間は10:00,いいな?」
「ちょっと待って、ルパン」
不二子が声をかける
「金庫を真っ二つなんてもったいないわ。純金の金庫ですもの
折角なら金庫ごと盗まない?
それに中は厚張りで、地雷でも戦車でも壊れないと噂よ」
そういうと宮殿の見取り図を取り出した
「いい?作戦は.....」
(遂にルパン三世が盗みに来る....彼は約束を果たしに来るのよ.....!)
ミラはそう思うといてもたってもいられない雰囲気になり先ほどから外をチラチラ見ている。外は星が夜空を照らしていた。
「ミラ王女、少し落ち着いてくださいませ。いくらあの大泥棒でも銭形警部さんには敵いませんから」
新人のメイドが声をかける。
並のメイド服では収まりきらない胸、そして腰からお尻にかけての見事なまでの曲線。
その身体つきはグラマー、いやダイナマイトボディ。目のやり場に困るほどである
「わかっています。だけど....楽しみなのです、ルパン三世がどうやってクイーンクラウンを盗み出すのか...」
ミラはキラキラした瞳で言う。その脳裏には今までの苦労とルパンとの思い出がよみがえってきた。
そう....これはルパンと私、ミラとの二人だけの約束....
あの時ルパンは言った。お前さんのおかげでこの国が豊かになったら盗みに行くと.....
私はあれからすぐ即位し、様々な政策を行った。
ジラードの悪政を廃止し、この国を建てなおすべく
国民にかけられていた税率を下げ、不必要な建物を作るのに伐採した木々を国民と共にもう一度植え、ヴェスパニア鉱石の輸出を活発化させた。
勿論一部から反発があり、時には命まで狙われた。
しかしこれは国民の為、そして一刻も早くルパンが盗みに来るようにするため.....
その夢がいま、叶おうとしている
「女王陛下、警備の準備が整いましたぞ」
いつの間にか入ってきていた銭形が帽子を取って一礼する。
「ありがとうございます。クイーンクラウンは渡しません」
女王は決意を固くした。
と、その時突然電気が全て落ちた。
そしてけたたましい警報ベルとサイレンが鳴り響く
「ルパンだ!ルパンがあらわれたぞ!」
誰かのそんな声も響く
(来た....!ルパン三世!)
ミラは警護の人々に悟られぬよう密かに胸を躍らせる。
そしてルパンの雄姿を見ようと一番乗りで現場に急行する
「さぁて.....あとはこれだけだぜ.....」
ルパンファミリーは、大金庫の前に立ち、一息入れる。
「虹彩システムよ?大丈夫?」
「任せなさい♪」
そういうとルパンはポケットから目玉のレプリカを取り出す。
「きゃっ」
不二子は床から10cmはとびあがろうというくらいの驚きようである。
ルパンはその様子を面白がるように笑うと、そのレプリカを近づける
金庫は音も立てず真っ二つに割れ、中から綺麗な宝石の装飾の施された大きなクイーン・クラウンがあらわれる。
「うひょぉ......」
ルパンもあまりの美しさに感嘆の声を漏らす。
「こりゃ綺麗だ......」
ルパン以下、その王冠の美しさ故しばらく見つめている
「銭形のとっつぁんが来る前にさっさと退散しねぇとな....」
クイーンクラウンの収まっているガラスケースをいとも簡単に開ける。
「ヌホホホ.... クイーンクラウンは頂いたぜ」
ルパンは王冠を片手で器用にクルクルと回す
「ルパン三世!」
急に高い声が響く。
「お久しぶりですね、ルパン三世」
ピンク色のゆったりとしたドレスを身に纏い、暗い水色をした少女が目の前にいた。
女王としての気品があり、しかし少女の幼っぽさも残る女王である。
「よぉミラ王女....いやミラ女王か?」
「はい。そうです。げんきでしたか?」
「あぁ、そうでなきゃ泥棒稼業は務まらねぇぜ」
「それはよかった......ところで、この国をみていただけましたか?」
「あぁ、みたぜ。いい国になったじゃねぇか.....」
ミラの瞳は煌き、深く頷いた。
「だが物足りねぇ....」
「えっ....?」
ミラの表情がそのまま凍りついた
「あぁ、足りねぇ。国民の心の豊かさだ」
「豊かさ....」
「確かに国民の生活は豊かになった。しかし,国民の心はどうだ?豊かになるような政策とったか?
もしかして俺にこの王冠を盗ませる為にやったんじゃないのか?」
ミラは図星をつかれ、瞳をドギマギさせる。
「..........図星だな.......」
俯き頭を垂れ、悲しそうな表情である。
「たかが泥棒一人の為にこれだけの事ができるのはすごい....
だがお前は間違っている。政治は俺じゃなくて国民の為だぜ?」
ルパンはそんな様子のミラに諭すように言うと、王冠を元に戻す。
「約束が達成されてねぇんじゃ、盗る訳にはいかねぇなぁ.....
次元,五右衛門,不二子,行くぜ」
ルパンはにやりと笑うと、片手をあげて去る。
その後ろ姿はとても神々しく見えた。
「いいのか?ルパン」
次元は助手席に乗り込みながら言う
「あぁ。
アイツと約束したからな、国がしっかり立て直ったら盗みに行くってな」
ルパンはそういうと不敵に笑い、煙草を咥えエンジンをかける
「待てー!ルパン!」
「そぉら来た、とっつぁんのお出ましだぁ!」
ルパンはアクセルを目いっぱい踏む
二台は銭形の大声を聞きながら走って行った
END.
クイーン・クラウンを盗め