記憶を失った少年、如月 渡(きさらぎ わたる)はある雨の日に1人の少女と出会う。 その少女の記憶は一日経つとなくなってしまう。渡は忘れない思い出を少女に与えてやろうと奮起する。 これは記憶を無くした少年と、記憶を無くし続ける少女の、ひと夏の物語。
おれが宇宙を好きなのは、そこがリアルな世界だからだ。こうして母船を離れ、大気圏外を遊泳しながら地球を眺めると、そこがいかに虚偽に満ちた世界か、よくわかる。やれ法律だ、やれ経済だ、やれ政治だ、などと喧しく言い立てるが、そんなもの虚構ではないか...
学年イチ美人のシオリは、その朝、イイ人が代名詞の冴えないショウタの口から飛び出した ”突拍子もない ”告白に口を半開きにして呆然とかたまった。 ”俺たち、クリスマスに付き合い始める夢を見たんだ ”と真顔で詰め寄るショウタは、断っても断ってもめげずに朗らかに笑う。 笑わないシオリが笑ってばかりのショウタのペースに巻き込まれ、次第に・・・。 ≪全63話≫
「あれ。またパソコンの電源入ってるぞ」 月曜日、出勤早々に五十嵐はつぶやいた。 五十嵐の会社では、業務用のパソコンが各自のデスクに配備されているが、節電と機密保持のため、退勤時には必ず電源を切るようにと言われている。もちろん、人間のやること...
美術部で起こった、「絵を汚される」という事件。中学二年生の渡瀬敦は、編入早々「自称探偵」の女子、法月紗羅に助手扱いをされる。はじめは反発する敦だが、やがて一見自信満々の彼女の弱さを知ることになり……。※「小説家になろう」にも投稿しています。