特別な秘密

私だけの秘密がある。誰かにいってしまいたいのに、言っちゃいけないんです。心の中にしまっておいと、、

大好きだよ?

スースー…。
寝息をたてて私の隣で寝てるのは私の好きな人。
どうしてこんな状況にいるのかは昨日に遡る。

鳴海さん!

そう呼ばれたのは仕事先の先輩だった。
そう。私の大好きな人。
私はこの人に憧れてこの仕事に就いた。
運がよかったのか先輩が私の教育係になった。
真近で憧れの先輩の仕事を見ることが許された。
共に仕事をしているうちに憧れは好きに変わった。

お疲れ様です〜♪
どうしたんですか??

明日、何か用事ある?
もしなかったら一緒に資料館いってみない?
鳴海さんもそろそろ1年になるし、外部の場所も訪ねて行ったほうがいいと思うんだよね。無理にとは言わないけど…。

いきます!
連れてってください!

私達は2時間の仮眠をとり、朝から資料館に向かった。案外早く用事も終わり、二人して休みをとっていた私達は少し気晴らしに出ることにした。

ついた先は無難なカラオケボックスだ。
少し似た所がある私達は人混みがとにかく苦手だった。カラオケは個室だし、話が漏れることもない。並んで座りいろいろ話した。先輩とこんなに話したのは初めてだった。
疲れていたのだろうか?
気付いたらいつの間にか寝ていた。
( ゚д゚)ハッ!
として先輩を見ると先輩も寝ていた。

そして今に至る。
私は先輩が好きだ。
きっとその事は先輩自身気付いている。
告白した時だって
先輩は気まずくならないように
話題をものすごく避けていたんだ。

寝顔、かわいーな。

心の声が出てしまっていたみたいで
部屋に自分の声が反響した。
先輩は寝ている。
思わずぎゅうっと抱きしめてしまっていた。
ふいに先輩にだきしめかえされた。
私は先輩を起こしてしまったのかと思い
すかさず謝った。

ごめんなさい!つい!

でも先輩はなにも言わない。
代わりに寝息が聞こえてくる。

なんだ、寝ぼけてたのか

私はそっと先輩の口に自分の口を重ねた。
ただ何となく。
何度も。
キスを繰り返した。
大好きだって。
言葉にはせず。
心の叫びを隠すように。
先輩はきっと私を傷つけないために
あえて私に好きだと言わせない。
それ分かっているから。
だから。

私だけの秘密にするから。
ゆるしてください。

先輩、大好きです。

特別な秘密

変わらず指導してくれる先輩。
やっぱりこの人の仕事の仕方は憧れるな〜。
わたしもいつかこんなになりたいな。



今日も私は先輩に恋をしている。
あのキスは私だけの秘密。

特別な秘密

伝えたいのに伝えられない。 私だけの甘い秘密。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-25

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