大好きな、あの人の煙草の匂い。 あの頃、世界中で一番好きな人がいて、自分が世界中で一番幸せだと思っていた。 14年前に離婚してから会っていない本当の父。どこで何をして、誰と暮らしているのかも分からない。 母は何も語ってはくれない。会いたいと言ったらどんな反応をするのかも分からない。 真実を知るのが怖くてずっと遠ざけてきた問題。 しかし、思いがけない人物の登場で「私」は過去への一歩を踏み出す。 そうだ。 私はこの匂いが大好きだった。ずっとずっと昔から。
物語作家七夕ハル。 略歴:地獄一丁目小学校卒業。爆裂男塾中学校卒業。シーザー高校卒業。アルハンブラ大学卒業。 受賞歴:第1億2千万回虻ちゃん文学賞準入選。第1回バルタザール物語賞大賞。 初代新世界文章協会会長。 世界を哲学する。私の世界はどれほど傷つこうとも、大樹となるだろう。ユグドラシルに似ている。黄昏に全て燃え尽くされようとも、私は進み続ける。かつての物語作家のように。私の考えは、やがて闇に至る。それでも、光は天から降ってくるだろう。 twitter:tanabataharu4 ホームページ「物語作家七夕ハル 救いの物語」 URL:http://tanabataharu.net/wp/
私は卵になりたい。卵になって全てをゼロにして、もう一度生まれ直したい。生きたくない。死にたくもない。助けて。でも触れないで。傷つけて。でもできるだけ、傷つけないで。 思いついたものを残しておく、それだけのための短編集です。