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山田

赤く燃えている東京タワーのそばで
ぼくのだいすきな人の命が燃えている

白い壁と管と包帯
たしかに横たわる絶望に背を向けて
東京タワーを眺めている

夕暮れだ

ライトアップにはまだ早く
それでも東京タワーは赤く燃えている

ぼくだったのだ
本当なら
僕だった

痛みを知らないで燃やしていた
あの日を越えて彼がいなくなる
何も知らなかったのは誰だっただろう

ぼくはあまりにも馬鹿だった
東京 東京タワー 赤く

そびえ立つその向こう
夜が迫っていた

彼との朝はあと何回くるだろう
東京タワーが赤く燃えている



1606091944

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-09

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