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幸せにならない魔法をシンデレラから教わった。39度の情熱で世界が変えられるんだとしたら、それはたぶん嘘だね。ほしいもの全部本当はいらなくて、抱きしめてくれるあなたがせかいのすべて。こわいもの、なにもない。句読点から僕の心を探って抉って覚えていてほしい。君が僕を知っていることで世界はたぶん回っている。ネガティブで根暗なふりして、実はリア充みたいなタイプが一番嫌いだよ。つまり、君です。君のことです。流行りのカラーグラスの向こうで僕を通り越して世界を見ている。つまらない。つまり、ない。ありえない。君の手のひらのシワが見えるところで生きたかった。どうしたってひとりぼっちになる。永遠に手に入らない孤独を追いかけて、君の背中のほくろの数を知ることもない。ずるいね。嘘でも愛しちゃいけない。君の小指の爪ぐらい僕のものにしたかった。そこで、鐘がなる。魔法が溶けて、お昼休み。いつもの地下の中華屋で待ってます。君は、あの店知らないけど。待ってみます。


20160510

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-09

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