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山田

物語なんですこれは
だれの?だれかの。
そう、誰かの物語

秋が来て冬になって
春が来て夏になる
そして今 一歳

つまりそれが過去
四季を7秒で割って
つまりそれは過去

君を作っているのは
うさんくさい想い出で
全部たいして役に立たない

撃たないで!と注意書きをされた
ピアニストが奏でる音楽は
穏やかすぎて野蛮な君には似合わない

彼はあるいはそう言いたかったのかもね

春には桜を食べて
夏には入道雲を
秋には紅葉を食べて
冬は眠るただ眠る
それで大体十二歳

何が悪いの?
中二病の左手に邪気眼を仕込んで
血を流して遊んでいた
巻かれた包帯はわざとらしく
君の痛みを告げている

それが青春 ドブ色の青春
君は14歳
処女のままで二十歳になる

物語ですかこれは
いいえ違います
誰でもない君の人生です

恋と革命を待ちわびてひからびる27歳
気持ちだけ18歳のままで死に体

かわいそうだね?
そう言われてキスで目覚める夢を
キーボードを叩きながら見ている

誰でもない、君の人生です。



1606092009

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-09

Copyrighted
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