その立ち位置は譲らない。

君がすきだ。

そう思ったのはいつだっけ?
何がきっかけだったんだっけ?

なにひとつ思い出せない、役に立たない頭。
でもこれだけはわかる。
君の笑った顔がすきだ。低めのざらついた声もすきだ。ウニみたいにいつも爆発している髪型もすきだ。
君に、私は恋している。
それだけは、わかる。

でも、私は「彼女」になれないし、なろうとも思わない。
私は君に釣り合わないし、君の好みは私じゃない。
君に想いを伝えることも、きっとこの先1ミリもない。

だけど。
君のそばにいたい。特別な存在になれなくてもいい。そう思う。
だから、私はずっと君のそばで馬鹿なことばっかりやってる。
おかしなことを言ってたら、君が突っ込んでくれて。君がおかしなことを言えば、私が突っ込む。
女友達の中だったら一番仲がいい、みたいな。

適度な距離を取りつつ、私の気持ちを悟られないように。
でもそれも長くは続かないけど。それでもよかったんだ。

君に「彼女」が出来てしまえば、終わりだもの。
その「彼女」が''私の大切な友達''なら尚更、ね。

その立ち位置は譲らない。

その立ち位置は譲らない。でもその存在が出来てしまえば、譲る譲らないの問題じゃなくなるよね。

その立ち位置は譲らない。

その立ち位置はずっと私の場所だったけど。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-11

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