海月

おこにくさん

三題話


お題
「騒がしい」
「心にもない」
「サクランボ」

「あうぅ……」
 海月(うみつき)は目を伏せて、耳まで真っ赤になっている。
 俺はそんな海月の恥ずかしがる様子を楽しみながら、パジャマのボタンをゆっくりと外してゆく。
 興奮のせいかボタンを外す手が少し震えている。
 その様子を見ている海月の吐息はとても熱い。
「や、やあ……」
 パジャマの前をはだけると、海月はふくらみの無い胸を隠すようにぎゅっと両腕を前で組んだ。
 俺は唇で海月の頬をなぞりながら下へ、首筋まで到達するとくすぐったいのか身をよじらせている。
 そこで海月の両手首を掴んで、力が抜けた両腕を広げさせた。
 目の前に晒された真っ白な肌は、淡く朱が差している。
「んん……」
 海月はまぶたをきつく閉じてこの羞恥に耐えている。
 その表情はとても扇情的で、官能的で、とてもかわいらしい。
「海月っ」
「ん、ふあ……」
 鎖骨に舌を這わせ、なだらかな胸をたっぷり味わう。
 海月の汗のにおいが俺の心を、そして身体までも震わせる。
 左右に一つずつある、さくらんぼのように甘くてかわいらしいふくらみを舌先で転がすと、海月は声にならない声を上げて身体をびくつかせた。
 我慢できなくなった俺は、海月のはだけていたパジャマを脱がせてベッドの下へ落とす。自分の服も脱いで上半身を晒し、今日は下も脱いで全裸となった。
 海月のパジャマのズボンに手を伸ばしたが、それは海月によって止められてしまう。
「え、えと、自分で脱ぐから……目を閉じてて?」
 言われた通りに両目を閉じて、ごそごそと衣擦れの音を聞きながら待つ。
 ぱさ、と軽いものが落ちる音に続いて「いいよ」という海月の声が聞こえ、俺は閉じていた目を開いた。
 目の前には毛布に包まった海月。
 瞳を潤ませながら不安げな顔をこちらに向けて、毛布を掴む手にはぎゅっと力が入っている。
 あまりにも、かわいすぎる。
「海月っ――」
「わわっ」
 俺は海月の毛布を乱暴に剥ぎ取って、折り重なるように海月を押し倒した。
 さらりと前髪が乱れて綺麗なおでこがあらわになる。軽く口付けをすると、うにゃ、と嬌声を上げて俺を更に興奮させる。
「海月はホントにかわいいなあ」
 潤んだ瞳、上気した頬、半開きの口から漏れる熱い吐息、華奢な首筋、浮き出た鎖骨、感じやすい胸、柔らかなお腹、つい指を差し入れたくなるおへそ、そして。
「んふっ……」
 海月の身体がぴくりと震える。
 一番敏感なところにはまだ触れてもいないのに、海月はいやらしく身体をくねらせた。
 お腹を撫でているだけで息は荒くなり、とろんとした瞳で俺を見つめている。
 口から涎が垂れていて、喘ぎが止まらない。
 無意識なのか海月の手が下へ伸びて、俺に刺激を与えてくる。そのぎこちない動きが、心地良い刺激となり快感を高めてゆく。
「はあ、はあ、う、海月……」
 俺は海月の唇を奪い、舌を使って中まで味わう。
 二人の舌が絡み合い、唾液が混じり合い、俺と海月は一つになる。
 ジリリリと頭の奥が騒がしいが、今はそれを無視して海月を感じる。
 身体が重なり合ってとても気持ちが良い。もう限界が近い。
「ん、ああっ、おにい、ちゃんっ――」
 びくびくと身体を大きく仰け反らせた海月を見て、俺は……。

       ◇

 目を開けて視界に広がったのは、見慣れた自室の天井。
 頭上では目覚まし時計のベルがけたたましく鳴り響いている。
 そして俺は、無様にも夢の残滓をどくどくと吐き出していた。
「……うわ、最悪だ」
 夢の内容も然り、その結果も。
 着替えの手間が一つ増えるくらいどうということはないが、その理由はあまりにも最低なことだった。
 目覚ましのベルを止めたところで控えめなノック音が聞こえた。それに続いて扉が半分だけ開き、その隙間から海月が顔を覗かせる。
「お兄ちゃん、起きたあ?」
「お、おう、すぐ行くから海月も早く仕度しろ」
「急がないといけないのはお兄ちゃんのほうだよ」
 海月は小さく微笑んで、扉を閉めて部屋から離れていった。
 俺はほっと一息吐き、しかし罪悪感で気分は沈んでゆく。
「まさか、あんな夢を見るなんてな……」
 独り言は空しく霧散してゆく。
 海月は大切な家族で、それこそ目に入れても痛くない存在だ。
 だからといってこんなことがあっていいわけがない。
 確かにかわいい、確かに愛おしい、確かに俺らは仲良しで、いつも一緒にいることを友達にからかわれたりするけど。
 でも夢であったようなことは一度も考えたことはなく全く心にもないこと……いや、心の奥底ではそういうことを考えていたのかもしれない。今となっては自信がない。
 だけど、だけどだけどだけどだけど。
 海月は俺の“弟”なんだ。

海月

海月

自分以外の誰かからいただいた3つのお題を使ってSS

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-11

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