小さな解れ

アントニア

また、からだを重ねた。

一ヶ月ぶりに会った彼の見た目は、金髪に黒のジャケットと、ずいぶん派手になっていた。
ボウズで、Tシャツと短パン姿がトレードマークだったころを、懐かしく感じる。

「人間見た目は変わっても、中身は変わらない」
そんな言葉をふと思い出して、いま目の前にいる彼と、昔の素朴だった彼を、比較してみる。

このひとと別れた理由はなんだっけ。
会話しながら、ふと、そんなことを思い出してしまう。

食事がおわり、一言二言、言葉を交わし、自然とホテル街へ向かう。
いつもと同じパターンだ。

なんとなく、手を、つないでみる。
安心する。
人間の”好き”は複雑。

抱き締められる。
人間の”感情”は複雑。

唇を重ね合わせる。
人間の”心”は複雑。

一度解れてしまった感情は、なかなか元にはもどらない。

自分は相手に求めない。
相手も自分に求めない。

物理的に距離が近くても、お互いの心は場所にいる。

小さな解れ

小さな解れ

複雑なこころとほつれ。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-11

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