「おい、ここはどこだ?」隣に座っていた上司の寺島に肩をゆすられ、相川はハッと目を覚ました。特急列車の揺れが心地よく、いつの間にか眠っていたらしい。「えっ、あっ、ちょっ、ちょっと、待ってください」客車の前方にある電光表示で次の停車駅を確認すると......
良い人は死んだら天国へ。 悪い人は死んだら地獄へと行く。 なら、"良いことも悪いこともせず、死んだ人はどうなるのだろうか? そんな事を、1人の青年……加治木碧真は、昔からずっと思っていた。 そのせいか、彼は幼い頃から1人で過ごし、1人で生きてきた。 しかし、ある朝目覚めると、世界は一変。 "紙様"と名乗る存在の、『暇つぶし』に付き合わなければならなくなってしまう。 「"良いこと"も、"悪い"事もしてこなかった俺だけど、最後くらいなら、良い人でいよう……かな」
「おい、もう一週間以上続いてるな。牧田、病院に行った方がいいぞ」部長の広野にそう言われ、牧田は自分がまた咳込んでいたことに、ようやく気づいた。「すみません、うるさかったですか?」広野は仕事の手を止め、牧田の席まで歩いて来た。「そんなこと......
ワタクシ、猫かぶり株式会社の猫田猫男と申します。 今回はあなた様にピッタリなサービスをご案内しに伺いました。 ニンゲンに愛され、何もしなくてもシアワセになれる、とっておきでございますよ。 オプションもおつけいたしますし、お試し期間もございます。 あなたほど猫をうまくかぶれる方はなかなかいらっしゃらない。 どうでしょう、あなたも猫をかぶってみては?
星野家次期当主に選ばれた星野蒼(ほしのあおい)は、家族を守る為に実の父である星野聖太(ほしのせいた)から直々に当主修行をさせられていた。そんな毎日に嫌気がさしてきたある日のこと、思わぬ出来事が蒼を襲った…___。
某ホテルの大理石のロビー。夜も遅い時間なので客は少なく、閑散としている。その奥まった一角に作られた、ロープを張ったポールに囲まれた数メートル四方のスペースの中に、二人の男が立っていた。手に三十センチぐらいの円盤状の機械を持った作業服の男......