小春日和の日の下で

エッセイ風です。

桜の下、制服姿の小学生がよく映えた。

昨日、体よく仕事のくびを言い渡され、はあそうですかと受け取った私は、泣くでも怒るでもなく、ただ「ああそうかあ、じゃぁしゃーないな」と妙に感慨深く、この地の人々の巧妙なやり口に異文化交流のときのように感心した。

うまいことするなあ。

そんだけ、私は阿呆である。
何か自分の芯を持っていなくてはいけないと、とりあえず勉強にしがみつき、流行りに目を通す。
しかし私の生活の実態というのは、人様に養ってもらい、迷惑をかけない範囲でえんえんと続く人生の暇つぶしをする、というものである。
用は家事手伝いの学生上がり。
家に金を入れなきゃなぁ、と思いつつ、昨日買った釣りバカ日誌のDVDを一話ずつ大事に観ている。
うむ、何度見ても、名作は名作だ。濱田岳は良い役者になる。

そのように、月に一万は自分の小遣いとしてやっぱり使ってしまうので、私は考えた。これからは、ライフスタイルを変える必要があるぞ。
もっともっと、学ばなければ。

先人の知恵として、梨木香歩の家守奇譚や、冬虫夏草など読み、自分に活を入れる。
彼女の作品は素晴らしい。まごうこと無き精神世界だ。
後作が以前より設定の内容が詳しくなっているのが嬉しい。マニアである。

さて、後日私が取った行動。
まず、朝起きて、ご飯を食べ、洗濯機を回して、玄関を掃いた。
ここまで書いて、今11時54分。まだ洗濯物を干していないことに気づく。
そして図書館へ行き、私と同胞であるかのように本好きな人たちを眺めながら名作を探し、借りることに成功。ほくほくとして帰る。

家へ帰り、こたつ布団と敷布団を引っ張り出し、干す。
この太陽なら乾くはず。
そして壁にセスキ炭酸水を吹きかけ、雑巾でこする。
見事にヤニが取れた。夕方になったら米のとぎ汁で木の柱などこすることにしている。

なんとなく片付けた気になって、自室へ上がる。
ブログを書いていて、ふと苺が食べたくなり、「初物だ初物だ」と、犬を連れて商店街へ出かけた。
家の前に人影あり。近所の婆さん、固まって、噂話。
「うーわー」と思いつつ、スルー。行ってまいります。

商店街では、犬を肩に担ぎ、背の高さを利用して男っぽくふるまう。こうすると周りからの当たりが柔くなるのだ。
八百屋に入り、苺を二パックとる。
「抱っこされてんの」と、兄さんが犬をあやしてくれる。八百屋に連れてはいることを謝って、レジへ。「めっちゃ登ってるー」と、こちらの姉さん方も笑ってくれた。
自分ちの犬は気違いみたいに、捕まえるまでがうるさいんだと、さっきの兄さんが相手をしてくれ、「ありがとうございます」と会釈し、出る。
一口豚カツ揚がったところを百円で買い、ついでにペットショップによって犬の餌を買う。
道中、バラ柄の服着た婆さんに、「お姉さん、いや、お兄さん!」とからかわれる。かわす。

道に出るとヤンキーの兄ちゃんが居り、犬が足元をちょろついたので、若干慌てた。
帰ってくると、まだ婆さん連中話し足りない。
ほっといて家へ入る。

群ようこ先生の、小福歳時記を読みながら、洗った苺を食べる。豚カツは兄弟にやった。

保育園の遠足が帰ってきて、ぴいぴいとかしましい。ひよこの様だといつも思う。

これからも、何処とも縁のない生活は続くだろう。すれ違いざま、言葉を交わして、挨拶して皆去っていくんだろう。寂しい人ばかり集まって、困る。
が、それもまた、日々の一部。

さてさて、そろそろ洗濯物を干そう。

小春日和の日の下で

日常を切り取ってみました。

小春日和の日の下で

普段の、何気ない日々の中にいること。服招きの犬。

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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-04-06

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