セレソン28

セレソン28

不時着

ああ、ああ。ええと、音声ワープロは動いているかな。あれ、余計なことまで印刷されちゃった。まあ、いいや。後で削除しよう。『宇宙の不思議』を読んで。4年3組遠山ヒカル。ぼくは課題図書の中から、『宇宙の不思議』を選びました。なぜなら、ぼくは…

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ムーンランニング

誰しも通勤や通学に使う道や時間帯は、およそ決まっている。その為、同じ人間と何度も出くわすというのは、よくあることだろう。(また、あいつだ)富岡は前方から走って来る男に気付き、すぐにそう思った。いや、『前方から』というのは富岡から見て…

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地球の裏側の人、聞こえますか?

「あなた、ゴロゴロしてる暇があるなら、庭の草むしりぐらいしてよ」「ああ」庭付きの家を買ったのが八木の秘かな自慢だったが、特にこの季節には、どうしてこんなにと思うぐらい草が生えてくる。しかし、子供がまだ小さいので、除草剤をバンバン撒くわけにも…

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家政婦ロボットは見た

《お帰りなさいませ。ご夕食はサバの味噌煮でございます》「ああ、ありがとう」いつものことながら、榊原はメグミの献立に感心した。その日の昼食は、取引先の好みに合わせてコッテリした肉料理だったので、夜は魚がいいなと思っていたのだ…

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あなたの人生、本にします

「あなた、またブツブツ歌ってたわよ」 妻にそう言われ、遠藤はハッとした。「ああ、そうか。すまん」「悩みごとなの?」「えっ、どうしてわかった」「やっぱりね。だって、あなたが『迷子の迷子の子ネコちゃん』って歌ってる時は、大抵そうだもの…

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無敗のギャンブラー

待ち合わせた喫茶店には幸い他の客はいず、その男だけが待っていた。わたしも男と同じくコーヒーを注文し、改めて男の顔を見た。予想していたより老けていたが、ハンサムな男である。「ギャンブルのコツが聞きたいんだって?」 男はちょっと皮肉っぽい…

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渋滞の原因

片側二車線の国道は混んでいた。沢村の目の前を『わたしは法定速度を守ります。お先にどうぞ』と書いたトラックが走っている。すぐに追い越せる状況ならいいが、隣の車線は順調に流れていて、割り込めそうにない。沢村は、チラッと時計に目を走らせ…

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新しい相方

「どないなってるんや!」ここは場末にある小さな演芸場。スキンヘッドの体格のいい男がパンツ一丁の格好で、楽屋の中を行ったり来たりしている。男は時計をチラッと見ると、忌々しそうに舌打ちをした。 その時、ドアがノックされ、ポッチャリした若い男が…

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超能力エレジー

同期が次々に出世していく中、栗田は未だに外回りの営業をしている。さすがにこの歳になると、得意先を何軒か回っただけで疲れてしまう。そんな時、喫茶店に入る小遣いもない栗田は、公園のベンチに座ることにしていた。日中の公園は近所の若い主婦が…

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タキオンビーム

そこはわりと評判のいいメンタルクリニックだった。「野口さん、診療室にお入りください」妻らしき女性に付き添われて入って来た男を見て、医師はすぐに異常に気付いた。目の焦点が合っていないし、何かブツブツ言っている…

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