セレソン28

セレソン28

課長の休日

「どうして、こんなに遅いのよ!」「うん、まあ、いろいろあって、さ」 少々帰りが遅くなったからといって、そんなに不機嫌な態度をとらなくても、と政夫は思った。政夫は酒も飲まないし、賭け事もやらない。遅くなるのは、単に仕事が忙しかったという以外に...

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

歩きステマはやめましょう

事務用品のレンタル会社に勤めている小林は、いつものように駅を出て、徒歩で会社に向かっていた。本当は自転車の方が楽なのだが、度々盗難にあい、仕方なく歩くことにしたのだ。最初の信号が赤になり、立ち止まってスマホを見た。相変わらず広告が多い...

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

忍者がバンバン

「ねえねえ、六平太、また忍術見せてよ」そうせがんできたのは近所に住む御家人の長男坊、松之介だった。六平太は一瞬自尊心をくすぐられたが、思い直してかぶりを振った。「だめだ、だめだ。忍術は見世物じゃない。それより剣術の稽古をつけてやろう…

  • 小説
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

ぼくがおっさんになっても

隆一が高校生だった頃、三十歳になった自分など想像することもできなかった。知っている大人たちを見ても、まるで別次元の存在のように思えた。 三十歳になった時、隆一は思った。何だ、高校生の頃とちっとも変らないじゃないか。確かに、見た目は年相応に...

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

夢見るおばさんじゃいられない

わたしのように長年スーパーのレジ打ちをしていると、買い物カゴの中をチラッと見ただけで、どういう人なのかわかってしまう。カップラーメン二種類、惣菜盛り合わせ(小)、ペットボトルのウーロン茶、カップケーキ、ポテトチップス(Lサイズ)。多分…

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

氷の惑星

「最近、やたらと氷震が多いな。もしかして、また氷山が噴水するんじゃないか」隊長にそう尋ねられた氷質調査班のチーフは、うなずいた。「ええ。有感氷震の間隔がだんだん短くなってきています。大規模な噴水の可能性がありますね。撤収の時期を考えた方が...

  • 小説
  • 掌編
  • 冒険
  • SF
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

小説株式会社

「お宅のネタ、最近、鮮度が落ちたんじゃないの?」着想課の仕入れ係からそう言われ、『ネタ元』という刺繍の入った作業服を着た男は、頭をかいた。「すいません。近頃不作続きでして。かと言って、二次ネタはお上が厳しくて使えないもんで」「しかしなあ…

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

セレンディピティマン

「ごめんくださいませ」今時あまり聞かない挨拶だなと思いながら、たまたま休日で家にいた福田はドアホンのモニターを見た。見たところ平凡な中年のセールスマンのようである。「何の用だ?」「福田幸男さまでいらっしゃいますね」「そうだが」「おめでとうござます...

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • コメディ
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

持たざる幸せ

その日、仕事で帰りが遅くなった政夫は、近道をするため、すっかりシャッターの降りた商店街を通ることにした。みぞれ混じりの冷たい雨が降る大通りから商店街に入ると、心もち暖かい。そのせいだろう、最近ではあまり見かけなくなったホームレスがいた…

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
  • Copyrighted

秘密結社MKK

目隠しをされたまま、車でグルグルと移動させられたので、浜田にはここがどの辺りなのか見当もつかなかった。車から降ろされ、手を引かれながら階段を下って行く。やがて、案内役の男が立ち止まった。「さあ、着いた。中に入ったら、目隠しを取ってもいいぞ...

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • コメディ
  • 全年齢対象
  • Copyrighted