弘化二年の五月も半ば、娘の阿栄と若い門人の為斎を連れ、絵師の葛飾北斎は信州の小布施に向かった。小布施の門人の高井鴻山が造った上町の祭屋台天井画を描く為である。物語の上巻はこれまで北斎の謎とされていた富嶽三十六景と富士講の謎について、更に浦賀で暮らした数年間の訳と、カピタンに頼まれた肉筆画の話を、今まで集めた資料に基づいて描いてみた。 又物語の下巻では、信州の小布施で造られた東町祭屋台と上町の祭屋台の天井画の謎、そして岩松院の天井画の事、更に松代の次席家老小山田壱岐と松代藩勘定方の宮本慎助に渡った北斎の描いた大量の日新除魔図、そして今でも信濃の黒姫に近い雲龍寺に残る為斎の描いた双隻の片方、大作『玉巵弾琴六曲屏風』の龍図など、信州の松代と江戸とを結んだ北斎と北斎を囲む人々の晩年の物語である。
蓮の花が美しく咲き誇るこの庭を眺めながら、皇太后はいくつもの夏を過ごしていたのだ。淡い鴇色の花の中に、一輪だけ白い蓮が咲いていた。聡は階段を降りて、そっと白い蓮の花に触れた ──第一部 完──
人が誰でも一度は思うことを、それをこの話に出てくる「私」は思い、実行に移そうかと考えます。彼女の下す決断とは。生きるとは難しいけど、案外簡単だったりするのかもしれません。
15分で読み終わる短編です。通学•通勤時間にちょうど良いです。白い部屋にて一人きりで生きてきた少年が、南側の少女に会うため戦争を仕掛けます。