高級車の中で

埋もれる革の中

横で母が笑い
妹が話して

運転席の父が相槌を
兄が頷く

私が声を上げると皆の声が車の中をぐるぐると駆け回って窓の外に飛び出しそよ風に沿って通行人の横を通り過ぎ(その通行人は笑顔になり私たちの方を振り向いた)そのまま海の潮風と混じり鳥の息となった。

幸せなこの空間に

どんな高級車の中よりも幸せなこの瞬間に

車がぶつからない限りずっとずっと続いていくこの瞬間を私はそっと手の中に包んだ。

高級車の中で

高級車の中で

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-08-12

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