少しネガティブな高校生の本城奈津美は、友達の風石信子と共にきた夏祭りの中で、黒猫と出会う。 猫を追いかけ辿り着いたのは寂れた神社。そこに一人の少女が佇む。 少女の声、白昼夢、綿菓子。たった一夜の不思議な話。
ドアをノックすると、間違えようもない和美さんの声で、「どうぞ」の返事。 中に入ると別世界だった。これが病室かと思うほど、華やかな彩りであふれてる。お部屋の香水を持ち込んだのだろう、匂いまで違う。その環境で、おねえさんは嬉々として僕を迎えてくれた。 「よかった、生きてた」と「生きててよかった」、二つの思いを同時に味わった瞬間だ。
下條が、今年小学校に上がったばかりの息子の和之がいないことに気付いたのは、昼少し前だった。普段は日曜日でも接待ゴルフで家を空けることの多い下條が、珍しく朝から和之と遊んでやったのだが、慣れないせいかすぐに疲れてしまい、早々に妻の明子に…
優等生を貫いてきた陸朗は、大学受験失敗という初めての挫折を味わってしまう。やさぐれてしまった心に寄り添うように傍にいてくれたのは、高校時代一番デブでブスだったみのりだった。その優しさに素直になれず、傷付けてしまうことに。 一途なみのりと、屈折した陸朗の青春恋物語。