声劇台本:Side story
元来,天界と魔界は水と油の様に混じり合うことはなかった。
天界は天界,魔界は魔界と独立して成り立っていたのだ。
突然真っ黒いスーツをそつなく着こなした細目の悪魔が大軍を引き連れて,天界を,そしてオリュンポス十二神を惨殺するまでは…
隊:ドーラ伯爵,天界のトップを捕らえました
ド:うむ,ここへ
隊:はっ!
ド:おやおや… これはこれは,全知全能の神,ゼウス様ではありませんか…
そのようなお姿で…無様ですねぇ…
ゼ:下賎な悪魔め,この天界をどうする気じゃ
ド:どうするか,賢明な貴方には既に見えているでしょう?
その為に貴方の存在は邪魔なのですよ
ゼ:分かっておるよ,
じゃが儂も天界を統べる者,其方の自由にはさせぬ!
天使の咆哮(プリンシ=トーネット)!
ド:ご理解頂けたならさっさとくたばりな!
悪魔の叫び(ディアボラス=クラマー)!
(両者の光線がぶつかりあう)
ド:おやおや… それでも天界のトップですか?
手緩いですねぇ…
ゼ:くっ…
ド:天界の神ならば,本気を出してみなさいよ,ほら,ほら…!(じわじわと相手を圧倒していく)
ゼ:儂は負けぬ!この世界の為にも!
ド:トドメだ!(適当なところで遮る)
ゼ:(叫び声を上げて倒れる)
ド:ふっ…手こずらせやがって…
隊:ドーラ伯爵,計画の準備が整いました
ド:うむ(壇上に登って,威厳のある声で
良いか,愚民共!天上神が死んだ今,この世界は私の手中にある!
ここでお前達に一つのチャンスを与えよう
ここで反逆の狼煙をあげるもよし,我々の支配下につくもよし,好きにしろ。
ただし,歯向かったらどうなるか,崇高で賢いお前達なら分かるであろう
ゆっくり考えたまえ…(去る)
天界はすっかり日暮れて,空に異彩な存在感を放つ紅い月が昇っている
それは,天界の終焉と,悪魔社会の始まりを告げていたのであった
fin
声劇台本:Side story