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山田


チョコレートキットの前で
何かに挑むみたいに仁王立ちする女の子の気持ちを知らないまま大人になった

だからいまもチョコレートは
わたしのもの

ざわめくももいろの暗号を
君が解きにきてくれたらいいのに

そうやっていつも
自分には何も期待しない

諦め方を間違えて
あの映画のおじいさんみたいに
反対の角を曲がり続けている

こわくないの
怖いっていつも誰かが言うけど
こわいことなんて何もなかった

チョコレートは甘くて苦くて
だからそんなものだと思っていた

こわくないのなんにも
こわいことなんてあるはずない

あるのはいつだって寂しさで
あの子のときめきと不安が
いつも羨ましかった

いまもチョコレートは
わたしのもの
わたしだけのもの


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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-07

Copyrighted
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