浦沢は悩んでいた。上司とどうしても反りが合わず、いっそ辞めて転職するべきか迷っているのだ。先日も、浦沢のとっさの判断が遅いと、散々上司に叱られた。辞めるなら、まだ若い今のうちだろう。 そんなとき、近所に新しい占いの館ができたと聞き、とりあえず…
深夜の高層ビルの屋上に、対峙する二つの人影。一人は白装束に翁の能面をした男。もう一人は黒い全身タイツに黒いマントをかけ、ドクロの顔をした怪人。 能面の男がドクロの怪人を指差しながら叫んだ。「観念しろ、ドクロベーダ―!オゾン層破壊装置はすでに…
ネットカフェやマンガ喫茶はいつも混んでいるので、直樹はよくブックカフェを利用する。一般的には書籍全般を扱うところが多いが、この『カフェ図書委員』は小説限定の店であった。ここなら料金も格安だし、何しろ空いている。おかげでゆっくりできる、と言いたいところだが...
「お会計は五万七千八百九十二円になります」「えっ!」 渚は改めてスーパーのカゴの中身を見た。夫の恵介の給料日だから、久しぶりにすき焼きでもしようと材料を買ったのだが、うっかりして無広告の肉を入れてしまっていた。恥ずかしいが商品を交換するしか...
簡単に言うと、ロミジュリの現代版です。 文学というよりコメディです。 主人公が長年接触をしてなかった 幼馴染ヒロインとの仲直りに奔走する話。 家の因縁もあり、主人公の天敵で、そのうえ仲が良いとはかぎらなかったので、 仲直りは非常に難航することになります。 ※注意 男の娘や妹はでてきません!
たとえ自分の意に沿わない部署であっても、人事異動は拒否しないのがサラリーマンの心得である。それを断わるなら、辞める覚悟をしなければならない。『社史編纂室勤務を命ずる』という辞令を見ながら、栗本は頭の中で転職先を考えていた…
最近、夫の挙動が怪しい。わたしに結婚してもらった恩を忘れ、浮気などしていたら即刻離婚してやる。現代は女性優位の時代だ。総理大臣を始め閣僚はほぼ全員女性、上場企業のトップも大半が女性で占められている。そんな時代に、わたしのような輝かしいキャリアの…
老夫婦の元に、あのツルが戻って来た。以前、自らの羽根を抜いて布を織った為に地肌が見えていたが、その代り筋骨隆々な姿になっていた。「おまえ、随分たくましくなったねえ」 媼にそう言われると、ツルはニッコリ笑って力こぶを作って見せた…
CMが終わり、番組のタイトルが表示された。『第一回 輝け!超能力者マージャン大会』スタジオの中央にマージャン卓が据えられ、それを囲むように観客席がしつらえられている。すでにマージャン卓には四人の男たちが座っており、その横に派手な蝶ネクタイの…