棺を囲んでいるのは、棺に寄りかかりながら、お互いもたれるようにして座わり、ミイラ化していた少年たち。その異様な光景に息をのんだ。部屋に足を踏み入れて聡は気づいた。夕べ見た光景。神殿の小さな部屋の床。無いはずの穴に差していた月の光。闇へと消えていた光が差していたのはこの場所ではないのか……。
成績でトップ争いをしている――と思われている――咲雪(さゆき)と晃(こう)は、実は母親同士が親友で、一緒に会社を立ち上げたほど家族ぐるみで仲がいい。咲雪たちが高校生になってから少し経った頃、母たちが海外出張になる。一人になる咲雪を心配して、晃を一緒に住まわせることにしてしまう。のんびりした性格同士で問題なく過ぎて行く同居生活だけど、ある雷の日、咲雪と晃の関係は大きく変わって行く――。
ママは死者が乗る列車をホームで待ち続けていた。ホームは果てしなく長く、その果ては闇の中に消えていた。ホームには一台の電話が設置されている。それは下界の自殺志願者と繋がる電話。電話が鳴った。ママは自殺志願者に、死を選択させることも、生きることを説得することもできるのだった。