ながめる

渡逢 遥

ながめる

今朝の食事を 椅子を 机を 天井を

きのうを 空を 言葉を 顔を ハンカチを

脱ぎっぱなしの寝巻きを まだ湿っているバスタオルを 弾いていないギターを 埃をかぶった本棚を

割れた花瓶を 口約束を 振る左手を 消える背中を

共有した時間を 共鳴したこころを 意味を あしたを 憧憬を 勘繰り合った互いの両目を

帰路の街灯を 夜の静寂を 頭髪の汚れを あの歌の歌詞を 交換した手紙を 飾り気のない想いを 声を

ながめる

ながめる

ながめる

ながめる

この詩を書いているわたし自身は

ながめることができなかった

ながめる

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-10-24

Copyrighted
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