チアシードと彼女

渡逢 遥

窓際に坐る彼女は斜光で輝いてみえる

きっと光がなくても光ってみえるだろう

見慣れないメニューを眺める見慣れた彼女

運ばれた皿に目をやるとわたしの苦手なアボカド

避ける様に食べるのも恥ずかしく思い無造作に口に運ぶ

わたしの知っている味ではなかった

わたしがきょうこの日まで口にしてきたもののなかで最も好みだと好きだと言っても過言ではないくらいに魅了され陶酔してしまった

彼女は黙々と料理を口に運ぶ

わたしは食べるのが生憎遅い

ふと視線を横に移すと小さいプラスチックコップに見慣れない黄緑色の液体

「これなんですか?」

「飲んでごらん」

促されるままに恐るおそる飲んでみるとフルーツの味がしてこれもまた美味しかった

口には出さなかった

不思議な感じがした

嬉しさと自分の無知に対する羞恥が拮抗して感情合戦を繰り広げた

恥じながらも名前を知りたかったので思い切って尋ねた

ゆっくり口をひらく

チアシードというらしい

チアシードと彼女

チアシードと彼女

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日 2019-10-25

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