今のところ、なんとか頑張って生きています。つらいこと、くるしいことはたくさんあるけれど、いつか朝日がのぼって、鶏の声を聴ける日が来ると願っています。その日まで、どうか一緒に生きていきましょう。この話が、ちいさなきぼうになれたら嬉しいです。
現代の日本。 山梨県のとある児童養護施設に育った中学3年生の相川愛美は、作家志望の女の子。卒業後は私立高校に進学したいと思っていた。 そんな愛美に「進学費用を援助してもいい」と言ってくれる人物が現れる。 園長先生はその人物の名前を教えてくれないけれど、読書家の愛美には何となく自分の状況が『あしながおじさん』のヒロイン・ジュディと重なる。 春になり、横浜にある全寮制の名門女子高に入学した彼女は、自分を進学させてくれた施設の理事を「あしながおじさん」と呼び、その人物に宛てて手紙を出すようになる。 慣れない都会での生活・初めて持つスマートフォン・そして初恋……。 戸惑いながらも親友の牧村さやかや辺唐院珠莉と助け合いながら、愛美は寮生活に慣れていく。 そして彼女は、幼い頃からの夢である小説家になるべく動き出すけれど――。