【夢見ノ記】第七話、夢に迷う

【夢見ノ記】第七話、夢に迷う

【夢見ノ記】シリーズ
第一話→ https://slib.net/104460
第二話→ https://slib.net/105423
第三話→https://slib.net/107520
第四話→http://slib.net/110096
第五話→ https://slib.net/110553
第六話→ https://slib.net/111203


 (すい)は泣きながら走っていた。(もり)の家を飛び出してからしばらく走り、そして疲れてきて段々と歩みがのろくなっていく。とぼとぼ歩きながら、涙はとめどなく流れる。
 しゃくりあげながら涙はぬぐわず、泣いたままの顔で歩き続けた。視界がにじんでモヤモヤしたが構わなかった。
 そのうち睡は歩くのをやめた。涙はまだ止まらない。なぜ自分がこんなに泣いているのか、泣かなければならないのか、泣いてしまうのか、訳がわからない。なんだか悔しくてたまらなかった。
 守の馬鹿野郎と、心の中で百回は言った気がする。それくらい腹が立っていた。
 ふわっと肩に触れるものを感じて、一瞬、守が追いかけてきたのかと思った。顔をあげれば、守の家にいるはずの鳥が肩に乗っていた。
「お前、ついてきちゃったのか」
 睡が話しかけると、鳥は頷くように首を動かした。鳥は相変わらず鳴く気配がない。
「弱ったなあ。俺んとこは、お前を置いておけないんだ」
 鳥に事情を説明しても分かるはずもなく、睡はどうしたものかと困ってしまった。
「ああ、でもそうか。今日は金曜日だ」
 金曜日の夜は、叔父はたいてい一晩飲み明かして朝帰りだ。翌日も昼までぐっすり寝ているだろう。家には叔父以外に人はいないから、今晩だけ鳥を家に隠せるかもしれない。
「明日、エバちゃんに預かってくれないか聞いてみよう」
 睡は涙をふいて、鳥に笑いかける。鳥のことを考えていたら、泣いてばかりもいられないと思った。
「水飴を買いに行かなくちゃ。今日の餌、足りてるかな」
 鳥に向かって喋りながら、睡は歩き始めた。

 暗い部屋でひとり、布団にくるまって眠りにつく。それが睡にとって大きな安らぎだった。夢はいつも睡に優しかったから。
 今晩は珍しくひとりではない。枕元に鳥がいる。鳥は、暗闇にぼんやりと白い姿が浮かんで見える。闇にたたずむ鳥は、羽毛の白さが一層美しく際立って見えた。
 鳥に「おやすみ」と言って、睡は布団をかぶる。
 目を閉じると、今日のことが頭を駆けめぐる。守の顔を思い出し、睡はまた腹が立ってきた。守のことがじれったくて、睡は頭にカアッと血がのぼる。
「守の馬鹿野郎」
 と、口に出しても気がおさまらない。
 睡は守のことを知らなかった。守がなぜ夢の葉を噛むのか。なぜ夢に憧れたり執着するのか。なぜ、どこか苦しそうなのか。質屋や花屋の話を聞いただけで、すべては憶測にすぎない。
 守はどこか心ここにあらずのような、寂しそうな顔をするときがある。時折ふと垣間見せる表情だが、睡はそれに気づいていた。それがなんとなく、亡くなった姉に関係するのだろうと分かったのは最近のことだ。
 守は夢を見たことがないと言う。本当に彼は夢を見られないのだろうかと、睡は思う。出会ってから間もなく睡は守の夢を探したことがあるが、確かに見つからなかった。もしかしたら守の夢は、どこか奥に隠れて見つけにくいだけなのかもしれない。
 本気で夢の奥を探してみたら、どこかにあるかもしれないのでは?
 睡はそう思うと我慢できなくなった。ぱっと目を開き、声に出した。
「よし。守の夢を探そう」
 枕元で、鳥がごそごそ動く気配を感じた。再び目を閉じて、睡は深く眠りについた。

*******

 守が店に顔を出すと、質屋はなんともいえない嫌みな笑みを浮かべた。
「いらっしゃい。ひどい顔だねえ」
「そのペラペラ喋りすぎる口を、どうにかならないか」
「おや、なんのことだか」
 質屋はうそぶいて、暖簾に腕押し、どこ吹く風というていである。
 守は苛立つ気持ちをぐっと抑えこむ。
「言っとくけどね。葉っぱのことはアタシゃ話してないよ」
 守は額に手をあてて「花屋か」と、苦虫を噛みつぶしたような顔になる。
「鍵はアタシだけどね」と質屋は悪気なく、からからと笑う。
「この時期、あんたのことだからぶっ倒れてると思ったのさ」
「あいつにまで教えるなんて」
 守はぶつくさと文句をたれる。
 質屋は悪びれる様子もなく、煙草を吸う。ふううっと、ため息のような長い煙を吐いた。
「約束だからね。あんたが〈夢〉を商売にするってなら、監視はつけるって条件だ。それが誰だろうと文句は言わせない、だったよね?」
 その通りなので、守は言い返せない。
 本来なら夢に関われない守にとって、〈夢見〉の相棒ではなく、単独での商売は相性が悪すぎる。夢を見ないといっても、夢の商売には危険がつきまとうのだから、簡単に始められるものではなかった。それをここまで育ててもらったのは、質屋の力添えがあったからだ。
「不肖の弟をよろしく頼むって、あんたの姉さんに頼まれちゃあね。無茶しないか見てるのだって、あんたに信用がないからそうなるんだよ」
「くっそ。もうガキじゃねえんだ」
「アタシから見たら、まだクソガキのまんまだ」
 ふんっと鼻をならして、質屋はせせら笑う。守はどうにもこの婆さんが苦手だった。昔からの知り合いで世話になっただけに、どうにも頭があがらない。
 ふてくされる守に、質屋はぽんぽんと苦言を投げつける。守は仕方なく黙って聞いているが、居心地悪くてたまらない。
 ふっと柔らかな表情を見せて、質屋は笑った。
「あんた。あの子といる今は、前よりマシな顔をするようになったよ」
 守は不服だと言いたげな顔をした。
「手のかかるガキが周りをチョロチョロして困ってるだけだ」
「睡は、いい子さ」
「そんなこと分かってる」
「分かってるから、巻きこみたくないってかい? 下手な情けなんて最初からかけるもんじゃないよ」
 守の顔に暗い陰がよぎる。睡を見ていると昔の自分を見ているようで、つい必要以上に構ってしまった覚えがある。〈夢見〉で眠っている姉の傍を離れられなかったため、守も学校にはろくに行けなかった。親戚と折り合いが悪かったのも、他人事には思えなかった。
「あんたは自分で思うより、情に弱いからね」
 質屋は眉を八の字に下げて、首を振って苦笑いした。
 守は眉根を寄せて、店内のどうでもいい置物を睨んだ。薄汚れた、商売繁盛の狸が飾ってある。
「昨日からここへ、睡は来てないか?」
 守が聞くと、質屋は「来てないよ」と答えた。嘘ではないようだ。
 昨日の喧嘩が気まずくて、守の家へ来ない気持ちは察せられる。ただ、鳥の姿も見えないのが気にかかった。家の中も庭も近所も探したが見つからない。
 もしかしたら睡と一緒に出ていったのかもしれないと思い至ったが、睡は住んでいる家では飼えないと言っていたはずだ。睡がつれて帰るはずもない。もし鳥がついていったとしたら、睡は誰かに預けたかもと思った。
 本来の目的はそれを聞こうと質屋を訪ねたのだ。睡が懇意にしているのは、ここしか思いつかない。思い違いだとしたら、鳥は一体どこへ行ってしまったのか。
 頭の痛いことだらけだ、と守は頭を抱えたくなった。
「睡が顔を見せなくて寂しいんだろう?」
「バカ言え。そんなことより、預かってた鳥がいなくなった。何か情報が入ったら教えてくれ」
「ほう。睡の鳥かい?」
「昨日、睡について行ったかと思ったんだが。睡がここへ来てないなら、鳥もあいつと一緒じゃないのかもしれない。くそっ、面倒なことばかりだ」
 守は思わず愚痴を吐いた。昨日の睡との大喧嘩に、睡眠不足でひどい眠気、鳥を探していた疲労でくたくた。おまけに質屋には説教までされて、気分は最悪だった。
「分かった。何かあれば教えるよ」
「ああ、頼むよ」
「守」
 質屋が声をかけると、店から出ようとした守は振り返った。
「もういいだろう? 許してやりな」
「お節介な婆さんだな」
「年を取るとね、世話を焼きたくなるのさ」
 打って変わって優しい声で言われると、なんだか調子が狂ってしまう。何を許せと言うのか、質屋の言わんとすることが分かり、守は押し黙った。
 何も言えずに、守は店を出た。
 守が帰ったあと、質屋は渋い顔をして煙草を吸っていた。
「まさか、ねえ。アタシの思い過ごしならいいけど」

 しかし、三日経っても  睡がそれから姿を現すことはなかった。

*******

 その晩の夢は、いつもと違っていた。枕元で寝ていたはずの鳥が、一緒に睡の夢へついてきていた。睡は驚き、「お前、どうやって来たのさ」と聞いた。鳥が答えるはずもなく、鳥は睡の肩にとまって静かにしている。
 鳥をおともに睡はしばらく歩いていたが、しだいに違和感を覚えた。霧のなかを歩いているのだが、一向に船着き場へ辿り着かないのだ。いつもなら、もうとっくに着いていてもおかしくない。
 白い靄のかかる何もない場所だったのが、周囲から徐々に暗くなっていく。闇が近づいてくるようで恐ろしくなり、睡は小走りになった。墨を落としたような闇が近づいてくる。睡は不安になってきて、駆けだした。
 ここに至って、睡は確信した。
 迷子になったのだ。
 まさか自分が夢で迷子になるなんて思いもよらなかった。睡は焦っていた。闇雲に走っても仕方ないかもしれないが、立ち止まっていてもどうしようもない。とにかく見覚えのあるものが見えてこないか、必死だった。
 何もない場所で、白い霧が薄れていき、暗闇が周囲を覆い始めていく。真っ暗な恐怖が追いかけてくる。のみこまれたらと思うと、睡はゾッと背筋が凍った。こんなことは初めてで、どうしたらいいのか分からない。
 息が切れて、疲れてきた。足が重くなり、もつれた拍子に転んでしまう。両手と両膝を地面について、睡はゼエゼエと荒い呼吸を繰り返す。膝が痛い。走って喉も痛い。夢でも現実でもない場所のはずなのに、感覚は妙に生々しく、それがさらに不安をつのらせる。
 周囲の闇はもう、睡を覆いつくそうとするほど近い。
「どうしよう」
 睡は呟く。恐怖で膝が震える。怖くて動けない。
 夢に深入りするなと言っていた、釣り人を思い出す。その言葉の意味がこれかと、睡はやっと分かった気がした。でも、もう遅いのかもしれない。
 闇はどんどん迫ってくる。睡は恐怖に襲われて叫びそうになる。
 急に服を引っぱられて、気がつく。鳥が睡を見つめていた。鳥の丸い瞳が真っ直ぐに向けられる。
 鳥は喋ることもないし鳴きもしない。しかし、ひとりよりはマシだった。
 このままではいけない。闇にのまれて帰れなくなれば、鳥も道連れになってしまう。睡は立ちあがった。
「大丈夫。俺も鳥ちゃんも帰れるから、きっと」
 鳥に話しているのか、自分へ話しかけているのか。口に出すことで、睡は冷静になろうとしていた。息を整えて、深呼吸をする。落ち着いて考えようと、睡は思考を切り替える。
 たいてい夢へ行くには、あの川を舟で渡らなければならないはずだ。舟に乗らない今の状態は、まだ夢の中ではないし現実でもない。どこにも行けない帰れないまま、夢と現世の間のどこかで迷ってしまった。
 睡にとって、こんなことは初めてだった。ただ単純に道に迷ったのではない。夢に迷ったのだ。
 夢の深みにはまることが、非常にまずいことだけは分かる。それがどういうことかを知る機会は今までなかった。夢は、睡にとってあまりにも身近な世界だったため、自分にとって脅威になるなど思ってもみなかった。
 慌てるな、落ち着け、と自分に言い聞かす。迷ったときはどうするか……考えて、睡は何も思い浮かばない。
 質屋に聞いておけばよかった、と今さらながら睡は後悔していた。夢見のことは最近教わり始めたばかりなので、こんな事態は想定外だ。
 バサバサッという羽ばたきとともに、鳥が飛び立って睡の周囲を飛び回る。存在を主張するかのように鳥が飛ぶ。闇に白く光る鳥の姿は、希望の光のように見えて、睡を勇気づけてくれた。
「ありがと、鳥ちゃん」
 睡は、いまだに鳥に名前をつけていなかった。守から引き取ったときに、選んだ名前を呼ぼうと決めていたからだ。
「お前の名前、本当は決めてあるんだ」
 こんな時まで「鳥ちゃん」と呼ぶのも、なんだか素っ気ないように感じた。
 睡が手を差しだすと、鳥は睡の腕にとまった。じっと見つめる鳥の目を、睡は綺麗な宝石のように思った。
「ましろ。体の色が真っ白だから」
 睡は笑った。
「お前の名は、ましろ、だよ」
 名前を呼んだとたん、鳥の丸い瞳が光ったように見えた。
 鳥は羽を広げて頭をもたげ、高く鋭く、一声鳴いた。

*******

 守の家にも質屋の店にも、睡が来なくなってから四日が経とうとしている。あまりに音沙汰がないので、さすがに守も心配になっていた。喧嘩をした守ならばいざ知らず、質屋にまで顔を見せないのはおかしい。
 質屋は落ち着きがなく、苛立ったように煙草を吸っている。相談に来た守は、質屋の珍しい様子を目にして、ただ事ではないのを感じとった。
「睡は今日も来てないのか」
 質屋は無言で首を縦に振った。何か考えこんでいるようだ。眉間にしわがよっている。煙草の煙を吐く。長く白い煙が、うねうねと宙に広がる。
「あんたのうちの鳥は、帰ってきたかい?」
「いいや」
 睡の心配をしているはずなのに、なぜ鳥の話がでるのかと不思議に思った。
「鳥も何か関係あるのか」
「分からないよ。ただ、気になってね」
 質屋が吸う煙草が、あたりに甘ったるい香りをまきちらす。煙が充満して、質屋の周りを白く霞ませている。
「あの鳥は、元々は鳥飼い(とりかい)の。夢鳥(ゆめどり)の卵だったはずだね?」
「ああ。だけど、こっちで孵化したから夢鳥じゃなくなった、と」
 鳥飼いは、ただの鳥だと言っていた。
「本当に? もしも、あれが夢鳥だとしたら」
「おい、まさか!」
 守は思わず声を荒げた。動揺を隠せない。
「今まで何もなかったぞ。あれはただの鳥だったはずだ」
「それは守、あんただったから今まで何もなかったんじゃないかね」
 質屋の言葉に、守は唖然とする。
「あんたは夢を見ないから、夢鳥の影響はほぼ無いだろう。でもね、睡は違う。鳥が睡についたのなら。本来の夢鳥としての力をあらわしたなら」
 どうなるか。想像にかたくない。鳥は、睡に夢を見せるだろう。
「睡は特に夢と相性が良くて、影響を受けやすいからね。だが、まだ未熟だ。夢鳥と組んだらどうなるか予想がつかない。最悪の事態もありうる」
「最悪ってのは?」
 嫌な予感がしながら、守は尋ねた。
 質屋は神妙な面持ちで口にする。
「夢に、迷ったのかもしれない」

 憶測だけでは話が進まない。質屋と守は相談して、とにかく睡の安否を確認しようということになった。
 睡の住む家を訪問するのに、年若い守が行くのは怪しいので、質屋が出向くことにした。
 いつの間に睡の家を調べたのだか。質屋の抜け目ないところに守が感心すると、
「あんたが他人に興味なさすぎるのさ」
 と、呆れたように言われた。全くその通りなので、守は何も言い返せない。
 質屋が店を出るあいだの留守番を任されて、守は所在なく店の中をうろついていた。落ち着いて待っていられずに、店内の商品を眺めたり、狸の置物をいじったりして時間をやり過ごす。客は一人も来なかったので、守の奇行を見る者はいなかった。
 しばらくして帰ってきた質屋は、不機嫌な顔色をしていた。同居している叔父という人物について、話すのも嫌そうな顔である。質屋がここまで露骨に嫌悪するほどだから、よっぽどだったのだろう。
 質屋が言うには、状況はあまりよろしくない。
「夢に迷ったのは間違いないね」
 睡が入院していると聞き、守は目の前が一瞬暗くなった。もう四日、眠り続けて目を覚まさないという状況が、守にとって姉を思い出させた。
「鳥は睡についていった可能性が高いよ。睡の傍で、夢鳥として覚醒したのかもしれない。これは鳥飼いに聞いてみるしかないね」
 質屋はそう言うと、てきぱきと戸締まりを始めた。鳥飼いに会う気だということは、これから夢へ行くつもりなのだろう。どうやら早々に店を閉めて寝る気らしい。
「守、花屋へ行って事情を話して。咲いたばかりの夢の花をもらってきておくれ。鳥飼いを捕まえるのは、夢に行くのがてっとりばやい。アタシは今夜でも捜しに行くから」
「わかった」と言って、守は走っていった。

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 鳥が初めて鳴いたので、睡はびっくりした。一声あげたきり、鳥はまた静かになった。
「ましろ?」
 呼びかけても、もう鳴く気配はない。
 突然、周囲の暗闇が晴れた。闇が消えて、今度は商店街の道なかに、ぽつんと睡は立っていた。見上げればアーケードがあり天井が長く続いている。
 うろたえたが、睡はぶんぶんと頭を振った。気持ちを切り替えなければと思い、大きく深呼吸をする。目を閉じて気持ちを落ち着け、ぱっと目を開く。
「とにかく、どこか道を探そう。ここが夢の中と繋がってるなら、匂いを探せばいいんだから」
 睡は鼻をこすった。嗅いでみても、これといって残っている香りも匂いもない。
 しかたないので道なりに歩いてみることにした。商店街の店はどこも閉まっている。人の気配はない。建物に近づこうとしても近づけないので、店に入ることは諦めた。
 睡は仕方なく、さびれた通りをキョロキョロと見ながら進んでいく。
「どこか分かんないけど、真っ暗な場所よりはマシだね」
 唯一のつれである鳥に話しかけた。鳥は睡の肩にとまって、言葉に反応するように頭を動かす。
 道なりに真っ直ぐ歩いていくと、行く先が白くぼんやりと霞んできた。この先ははっきりと見えない。どこに続くかは分からない。
 睡は一度、立ち止まった。
 このまま進むか……ひととき迷う。
 もはや、なるようになれと覚悟を決めて、睡は踏みこんだ。

【夢見ノ記】第七話、夢に迷う

【夢見ノ記】第七話、夢に迷う

【あらすじ】人が眠って見る《夢》。その夢に関わる商売をする守と、《夢見》になるため修行中の睡。しばらく姿を見せない睡を、守が心配し始めていたころ。睡は、夢で迷子になり帰れなくなっていた。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-28

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