古臭いアパートの一室、突然の不可思議な怪異に翻弄される、ごく普通の大学生、佐倉敬介は、やがて自分の体に奇妙な変化が起こり始めたことに気付いた。そこで出会った謎めいた女性との関係から進んでいく、不思議な物語。銀杏の木の上で繰り広げられる、奇妙な関係を描くちょっとホラーな恋愛ファンタジーです。
前回までのあらすじ:真奈美の過去が明らかにされ、それにまつわるゴタゴタも解決したかに見えた。しかしある朝真奈美が起きると皆様子がおかしい。あたしに内緒で一体何を? いよいよ物語も最終回。真奈美と真耶の関係はどうなる?
滅びへと続く門は大きく、その道も通り易い。生へと続く狭い門を通りなさい。{マタイ七章十三〜十四節}自分にとっての、滅びと生はなにか、迷っていた。
――俺は夢を見ているのだろうか。 目の前では、小柄でショートヘアのメイドが優雅な仕草でコーヒーを入れている。 「さ、どうぞお召し上がりください」 微笑みを投げかけるメイド服姿は、まるで店内に咲く一輪の花のようだった。 ――しかし、こいつは……。 「どうかされましたか、ご主人様?」 微笑を絶やさない従者喫茶の店員が問いかける。 いや、だってさぁ。 「お前……男、だよね!?」