永久愛物語2 -神の誕生祭2-

前回の続きです。
およそ一ヶ月単位で更新しているのにこの短さは自分でもどうかと思います。

天界へと降り立った圭人は驚愕した。
天界のイメージが考えていたのと違っていた。
木々や花畑などの自然溢れた場所ではなく、高層ビルが立ち並び、至る所に車のようなものが走っている。
「なぁ人間よ。もしかして天界がお花畑のキラキラしたとこだと思っていたのか?天界は人間界よりも更に最先端技術を持っているんだ。だが、あまり住みたいとは思わねえぜ」
「あっ、ありがとうございます。マリンさん」
「さん付けとかするなよ。そういうの嫌いなんだ、俺。敬語もいらねぇから」
そう言うとマリンは伸びをした。
「キーマ、早いとこなんちゃらの試練というのを受けて帰ろうぜ」
「・・・もう始まっているはずだが」
「皆の者!上じゃ!!」
サリックが指差した方を向くと誰かが浮いていた。
「『生死の洞窟の試練』へようこそ。私は担当の大天使イクスです。あなた達には試練を受けて貰います」
「何をどうするのですか?」
「焦らないで下さい、キーマさん。では」
イクスの手のひらにどこからともなく出てきた水が集まり、圭人に向かって飛ばされた。
「何だコレ!?水の塊?」
「それは圭人さんに与えた『神の卵』です。圭人さんと妖精たちはその『神の卵』を今から行く『生死の洞窟』に行き、育てながら守らなければなりません。それを守るには妖精たちの力が必要です。『神の卵』は『生死の洞窟』以外では育ちませんし、『生死の洞窟』には『神の卵』を欲しがる欲望が沢山います。皆さんは欲望からその卵を守るのです。それが『生死の洞窟の試練』です」
「何か曖昧ですね。もっと詳しく説明して下さい」
リィが言うと、イクスは黙り込んだ。
「・・・『生死の洞窟の試練』では五つのステータスから成り立ちます。体力、知力、防御力、攻撃力、そして純粋な力。これより先は入ってから聞いて下さい」
「うし、じゃ行くか」
マリンが我先に、と走っていった。



圭人たちが洞窟に入ると、妙な唸り声が色々な方向から聞こえてきた。圭人は『神の卵』といわれた水の塊を両手で隠すように包んだ。
「・・・いやなとこだな。もうギブ」
「早いぞマリン殿。ほらたぶんあれが第一の試練ではないのかの?」
「んあー?」
行って見ると祠が建っている。圭人が近付くと祠は怪しく光り何かが吹き出てきた。
“此処は知力の祠。汝、我に勝ち知力を手に入れてみせよ”
「わっ!?」
化け物の手がリィに向かって飛んできた。リィはそれを素早く避け何処からか杖を取り出した。
「ははーん。これは私が受けて立つものね。このナワット族に手を出したことを後悔するが良いわ!」
リィが杖を前に振りかざすと、とてつもない大爆発が化け物に襲いかかった。
「リィ!もう少し加減をしろ!!」
「無理無理、こんな化け物全力でやらなきゃ死ぬわ。圭人君連れて非難してなさいな、キーマ君」
キーマは言われた通り圭人たちを安全な場所へ連れて行った。
一方、リィは次々と召喚を続けた。化け物は容赦なく黒い腕をリィに伸ばしていく。リィは避けて今度は巨大な火の玉を投げ飛ばした。化け物は一瞬怯み、その隙に強風で化け物の体を切り裂いた。
「あら、意外とすぐケリが着きそうね」
今度は巨大な土の塊を化け物の脳天に落とす。そして木の枝を伸ばし、化け物を雁字搦めにした。無限に伸びる化け物の腕も素早く捕らえ、雷を落とした。
「リィすごーい」
「マリン、お前もそのうち戦うんだぞ?感心してる暇あるのか」
「いやいや大丈夫。逃げ足には自信があるのよ、キーマ君」
「・・・もしかして、相手が消えるまで逃げ続けるんじゃあ」
返事の変わりにマリンは大きく頷いた。
「そこのお二方、リィ殿の戦いがもうすぐ終わるぞ?」
マリンがサリックを押しのけ、そして叫び声を上げた。
「うおーーーーーっ!!!リィすげぇ!頑張れーーーー」
リィは杖を両手に持って何かをブツブツと呟いている。小さな氷が召喚され、だんだん大きくなっていった。ついにそれはとても大きな氷柱になった。
「とりゃあああああ!!!!!」
氷柱は見事に化け物の体を貫通した。
化け物は砂のようになり、消えた。
“・・・汝の覚悟、見事だった。望みどおり知力を与えよう”
突然、圭人の持っている水の塊が光り、何かが吸い込まれていった。
「水の塊に青色の光が浮いてる!」
「これが知力か・・・。次行こうか」
キーマが言うと圭人たちは先へと進んだ。



「祠だ」
「また化け物が吹き出てくるから気を付けなさいよ」
「分かってる・・・そら、出てきやがったぞ」
キーマとサリックが構えた。
“此処は守りの祠。汝、我に勝ち防御力を手に入れてみせよ”
黒い腕は先が二つに分かれ、サリックに向かっていった。サリックは腰に隠し持っていた折り畳み式のトンファーを取り出し、攻撃を防いだ。
「ふむ。これはワシが戦う、という訳じゃな」
そう言うと、サリックは前へ飛び出した。

永久愛物語2 -神の誕生祭2-

次回へ続きます。
今年中に終わるかしら。

永久愛物語2 -神の誕生祭2-

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-28

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