醤油の女の子

私は誰?

しょう油を飲んだのは、だあれ?
しょう油を飲んじゃ、だめでしょう?
誰が、飲んだの?
「あの子」?
「あの子」がのんだの?
何で、飲んだの?しょう油を、飲んだの?
「だって、辛くて、苦しかったから。」
「苦しかった?」
うん、そう。
苦くて、苦しかったから。
なぜ?
しょう油は、辛くて、苦くて、苦しいでしょ。
今の状況と、似てたから。
「今の、状況?」
そう。だって、お父さんとお母さんはもう、かえってこないでしょう。
何故。かえって、こない。
「知ってるのよ。もう、分かってるのよ。」
だって、もう、2か月もわたし1人だもの。
家の中でひとりでいるのだもの。
分かるわよ。
もう、お父さんもお母さんも帰ってこない、ことくらい。
「何故?」
理由なんて存在しない。
ただ単に、いなくなりたいだけだから。
それで、いなくなったのだから。
いつだって、
「世の中はそういう作りでしょ。」
あの子、が突然しょう油を全身にぶちまけた。
「満足?」「満足?」
アハハハハハハハハハハハ!!!
「満足でしょう?」
「ホラ。満足でしょう。」
驚愕の表情をして、じっと見据える。
あの子が、こっちをみている。
とても、こっちをみている。
じっと、じっと。
口を開いたかと思うと、一言も喋らずに、
何分も何分も口を開いたまま硬直して、
目が充血して、こちらをじっと睨みすえ、
手に握った瓶の口を、喉の奥に。突っ込んだ、突っ込んだ。
(そのまま、窒息して、死ねばいいのに。)
お母さんは、そう思った。ような気がする。
喉に詰まらせて、(醤油の瓶を)醤油を飲み(溺れ)ながら、死んだ。
「あの子」は、死んだ。
あの子は、誰の子だろう?


これは、ある日の昼下がり。
何処かのお母さんの夢。

醤油の女の子

あの子は、誰?

醤油の女の子

醤油を飲み下す物語です。突然、思い付きました。 頭のおかしい女の子が出てきます。 少ない文章量ですが、読んで頂けると幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-24

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