――あの方が蜘蛛だとは気付いておりました。そして、私は所詮それに喰われるだけの虫けらでしかないことにも。 "私"が出会った、人形めいた”彼女”の話。
先日、萩原孝一さん(『スピリチュアル系国連職員、吼える!-ざまあみやがれ、今日も生きている / たま出版』著者)とお話ししたときに、今の日本は諸外国との問題解決において『戦う姿勢で対応してはいけない』とおっしゃっていたことが印象に残り、その数日後にこの物語が浮かんできました。 萩原さんのような仕事をされている方と違い、庶民の私は自分が世界の問題に関わっていると感じることはありません。でも、今までどこか当然のこととして承認してきたことに対して私のような庶民レベルの意識が変わったとしたら、もしかしたら今と違う世界ができるのかもしれない… そんな風に感じたのです。
九つの種族が暮らす大陸、フェレリア。 大陸は、いくつかの国に分断されていた。 人、エルフ、ドワーフが支配する文明と秩序の国、アルタイト。 通称、「輝ける青き大地」 オーガ、獣人、ケンタウロス達が支配する自然と混沌の国、タステリア。 通称、「躍動する赤き大地」 そして、魔人とオーク、ジャイアント達が支配する自由と暴虐の国、エルドロン。 通称、「踊り狂う黒き大地」 それぞれの国には、起源を一つとする神話があった。 大陸の王位には、王剣に選ばれし者が継ぎ、そしてその者が、いずれ起こる戦火の時代、剣をかかげて分かたれた種族達を一つにする、と……。 この物語は、アルタイト領の町キリアスに住む一人の少年が、数奇な運命を通して世界を旅した物語。 やがて、彼の運命は、神話世界の伝説へ、密接に絡まっていくことになる。
宿命的な状況で向き合う、恋人同士の葛藤、そして悲劇。 5分ほどで読める掌編です。 逃れようのない冷徹な空間で、至高の愛が試されます。