キレイな恋がしたい。

キレイな恋がしたい。

頑張って作りました。
初心者の作品ですが、最後まで読んでくれると嬉しいです。
指摘や誤字脱字など、お手柔らかにお願いします。

遊び人なの?

「貴人くんって遊び人なの?」



初めて出来た彼氏だった。

格好良くて、モテモテの自慢の彼氏だ。


噂で聞いたことを聞いてみたくなった。

私の部屋の中、貴人くんが私の手を握ってきたからだ。

それは嬉しいことだった。初めての甘い雰囲気。恋人らしい行動。


私はもちろん貴人くんは否定するだろうとおもっていた。

もし否定しなかったら別れる勢いでいた。

だって、遊び人と付き合っている、なんて私の夢見ていた恋愛じゃない…そんなきれい事を思っていた。

だが、貴人くんは黙っている。

「貴人くん?」

「……やったことはあるよ」

…貴人くんの握る手が熱をおびている。


派手な格好のクラスの女の子が“やって妊娠した”と聞いたことがある。


「でも、自分から求めたことはない。……あれは事故だったんだ。……冬子が嫌がることはしない。冬子……だから、嫌わないで…」

キヒトくんが苦しそうに話している。

「いやっ!!――最低!」

貴人くんの手を払ってしまっていた。

貴人くんが部屋を走って出て行った。


あの噂が本当だったなんて信じられない。


『冬子の彼氏、女の子を散々弄んで捨てたらしいよ』

『相当な遊び人。まあ、あんだけモテりゃぁね。』


友達に貴人くんのことを相談した。

『貴人くんを王子様だと勘違いしてるんじゃない?健全な男子だもの、そういうことあって当たり前。…一度話し合ってみたら?』

『冬子も、キレイな恋愛夢見てないで現実見なよ!』


私の夢見ていた恋愛は、甘い感じでもっとふわふわした、誰にも邪魔されず彼と笑って過ごすような、そんな時間。

……キレイな恋愛を夢見ていたかもしれない。

それはあくまでも理想なのだ。

現に私は胸の中がモヤモヤしてる。

貴人くんはモテモテで、私が初めて付き合った人じゃないのに、
モヤモヤする。
これは嫉妬だ。

既に私の恋愛は、キレイではなくなっていた。

真実、貴人くんの過去の恋愛

気がつくと貴人くんの家まで来ていた。

真実を知る為に。


「…冬子。……どうぞ入って」

貴人くんの部屋着は白い爽やかなシャツにジーパン姿だった。

部屋着の彼は珍しくて…ドキドキと胸が高鳴った。

私は貴人くんが好きなのだと実感した。


貴人くんは透明なコップに麦茶を淹れてくれた。

「あ、ありがとう」

「……こないだは急に帰ってごめん。」

「そ、そんなことは良いの。別に…」

「そっか…。」

しばしの沈黙のあと、私はついに聞いてみることにした。

「貴人くんが言ってた…、事故って……」

聞くのが怖くなってきた。
貴人くんの過去の恋愛。

貴人くんは話してくれた。

「俺の初めての彼女は、15の時、中学の保険医の先生だった。俺の初めてはその人なんだ。でもあれは………自分から求めた訳じゃなくあっちから……その、求めてきて、…………実際、行為なんて気持ち悪くて……知るには早すぎたんだ。俺はその日の夜、汚い汗だらけの身体を洗った。身体に感触が残らないように…洗いすぎて身体が真っ赤になっていたことを今でも思い出すよ」

「……そんなことがあったんだ。…先生の事は好きだったの?」

「俺は夢中だったけど、あっちはそうでもなかった。先生が生徒に…なんて、好奇心だったんだ。」

「だから身体を、そんな真っ赤になるまで洗って…。消したかったんだ……」

「うん。……冬子はどう思う?俺の過去の恋愛。」

「本当に好きだったなら良い恋愛だったと思う。」

「本当に好きだったよ……でもあっちは違った。俺は理想を描いていただけだった」

貴人くんも“理想の恋愛”があったんだ。

まさしく今の私のようだ。

私の本音、ファーストキス

「………冬子は、俺の何を見て好きになったの?容姿?王子様だとでも思った?」

「……。」

「だったら残念だね。俺は…冬子が思い描いているような王子様じゃないよ…」

貴人くんは私の頬にそっと触れる。

ビクッとしてしまう。

「ごめんね……。別れようか」

「私はっ……正直貴人くんを理想の王子様だと思ってた…だけど、それでも貴人くんが好きなの!これからいっぱい貴人くんのこと知りたいと思う。もっと好きになりたい。だから……別れたくない」

私はポロポロと涙を流していた。

「貴人くんのこと、拒否したりしてごめんなさい…」

「それが冬子の本音?」

優しい声色で、見上げると微笑んだ貴人くんがいた。
そして、そっと抱き締めてくれた。

「う、うん…そうだよ…?」

「嬉しい……」

更にぎゅぅとされて、次第に解放されて、貴人くんが私の頭を撫でる。

貴人くんの綺麗な顔が近付いてきて、私は目をきつく閉じてしまう。

頬を優しく撫でられて、強張っていた私だが、自然と貴人くんに答えるようになる。

「怖がんないで……」

そう言ってから、貴人くんは私の唇に優しくキスをした。

それは恋人になってから初めてのキスだった。
私にとって貴人くんがファーストキス。

「俺は、既にもう冬子のこと大好きだけど。…早く俺のこと知って、もっと好きになって。俺の大好きまで辿り着いて、…冬子?」

すると彼女は、俺の腕の中で気持ちよさそうに、すやすやと眠っていた。

「…おやすみ、冬子。」

俺はそんな初な彼女が愛しくて、しばらく彼女の寝顔を見ていた。冬子が俺の気持ちを知るのはまだまだ程遠い気がする。それでも俺は待つつもりだ―――。



end

キレイな恋がしたい。

ここまで読んで頂き、有難う御座いました。

キレイな恋がしたい。

今まで恋愛をしたことがなく、“キレイな恋愛”を夢見る、大学生の冬子(トウコ)。 同級生の貴人(キヒト)は初めて出来た彼氏。 だが、その貴人は『女の子を散々弄んで捨てた、相当な遊び人』という噂があって―――?!

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-05-03

Copyrighted
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  1. 遊び人なの?
  2. 真実、貴人くんの過去の恋愛
  3. 私の本音、ファーストキス