セレソン28

セレソン28

火星の大統領

どこまでも広がる赤茶けた大地。そこに点在する空気の泡のようなものは、透明なドームに覆われた居住区である。居住区の間は、これも透明なチューブで繋がれ、この惑星にかつて存在したという運河のように見えた。 中でも際立って巨大なドームこそ......

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ブラックアウト

世界で最初にコンピューターの異常に気付いたのは、アメリカの高校生だった。学校から帰宅して、いつものようにパソコンを立ち上げた彼は、画面上を不規則に動き回る黒い点に戸惑った。(なんだこれ。液晶の中に、虫でも入ったかな)それが虫ではないことは......

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おパパごと

「ねえ、キミちゃん。おパパごと、ちようよ」「やーよ。あたちは、おママごとのほうが、いーの」「ちょんなこと、ゆわないでさ。えーと、ちゃちょうさん、おみちゅもりは、このようになりまちゅ」「だから、やだって」「ぜひぜひ、てまえどもに、ごはっちゅう......

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秘めたる思い

春は異動の季節である。サラリーマンにとって、この時期の上司や人事課の動きほど気になるものはない。「綾川係長、ちょっと、いいかな」上司の鈴村部長に声を掛けられ、デスクで伝票の整理をしていた綾川は思わずビクッとした。「あ、はい」綾川は飛び上がるように......

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とんでもないヤツ

紗栄子が最初に感じたのは、堪らない目の痒みだった。続けてクシャミが出た。それも、普段の「へくちん」というような可愛らしいものではなく、「ぶえっくしょん!」という、おっさんのような激しいクシャミである。すぐに、ツーッと鼻水が垂れてきた......

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趣味と実益

とある流行作家のエッセイを読んで、洋介は衝撃を受けた。林廣次というその作家の名前は知っていたが、推理小説が苦手なので今まで作品を読んだことはなかった。したがって、行きつけの本屋でそのエッセイを手に取ったのは、まったくの偶然だった......

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歯車の運命

彼は歯車である。ステンレス鋼でできた、平凡な歯車だ。彼の役目は、隣にある歯車の回転を受け、反対側の歯車を回転させることだった。それが何の役に立つのか、一個の歯車である彼にはわからない。願わくば何かの役に立っていたいと思うが、彼には......

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休むに似たり

昼食のあと、休憩室で仮眠をとるのが緑川の日課だった。緑川の会社では男女それぞれの休憩室に喫煙ブースと横臥用の畳室がある。禁煙して三年になる緑川は喫煙ブースには用がないので…

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究極のダイエット法

都内某ホテル。会議会場の入口に『重大発見に関する記者会見』という表示が出ていた。会場の中にはたくさんのイスが並べられ、すでに大勢の記者たちが座っていた。彼らの正面にあるテーブルには所狭しとマイクが林立しているが、肝心の主役はまだ来ていない......

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知らない街で

井上にとって初めて訪問する相手なので、手土産でも買って行こうと、ショッピングモールに立ち寄ったのがいけなかった。立体駐車場を出る際に、螺旋状の通路をグルグルグルグル回ったせいか、カーナビの道路表示が微妙にズレているのだ。ナビの画面上では......

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