最初に投稿された正真正銘の投書。没投書ファイルとして、保管されていたのだが、ひょんな切っ掛けから日の目を見ることになった。 それは、とある無人島で起こった殺人事件が記されていた。 フィクションか事実なのか。 物語はやがて、ロンドン警視庁のコールドケース課を巻き込んだ事態へと発展する。 ウィスパー寄稿文店主シリーズ、第3弾‼
レイチェル・ドアーは閑静な住宅街の一角にあるカフェでお茶を飲んで、もとい、蜘蛛の巣を張って獲物がくるのを待っていた。 するとそこへ、2人の男性が訪れた。 2人は友人らしかったが、会うのは久しぶりのようだった。 ひとしきり、雑談を交わした後、1人が話題の一つにと話し始める。 「実は、先日事件に出くわしてね……」と。
ウィスパー寄稿文店に店主エマ・アドソンは接客が苦手だ。だから、画期的な方法を思いついた。 投書と言う方法を‼ これなら、直接人と接しなくても寄稿用のネタを集めることができる。 我ながら頭が良い。そう思った。 善は急げ、エマは早速、新聞広告用の文章をタイプし始めたのであった。
城島が住民票の転入出届を入力していると、市民課の課長から、ちょっと来てくれと電話があった。作業を中断し、城島は課長室に行った。「何でしょうか?」眉間にタテジワを刻んで書類を睨んでいた課長が、顔を上げた。「おお、呼び出してすまん。急な話だが......
犬の散歩中に起こる出来事が意外や意外、危険と隣り合わせだったり、女性に声を掛けられたりという、男性の私には興奮冷めやらぬひとときなんですね、これが。
最初にハリネズミの異変に気付いたのは、父親の高田の方だった。「おーい、祐美、ちょっと来てくれ」パタパタと階段を上がって来た大学生の祐美は、口をとがらせた。「もう、パパったら、勝手にあたしの部屋に入らないでよ」「掃除のついでさ。それより......