転校生はアイドル!?7話
昨日、本屋に行き雑誌を立ち読みしていたら菊谷の特集ページが書いてあった。
なんだか複雑な気分になり本屋を出て家に戻った。
家に着いてからケータイを見ると「作戦1は成功。明日、結城を経由して渡す」
と絵文字のない無機質なメールが届いてた。
このまま無事あの本を入手できれば良かった…。
あの時にあんな事故が起こるとはオレは知る由もなかった。
「この本の事言ったら『アレ』みたいになるからね」
オレは怯えていた…。空手黒帯の原田を一瞬にして沈めた菊谷の技を見たからだ。
原田は痙攣して失神をしている。恐らく彼は三途の川を渡ろうとしているのだろうか
「この川を渡れば問題ない!計算通りだ」と呟いていた。計算通りじゃないぞバカ。戻ってこい。
「わ……、分かってるよ」
なぜこんな状況になってしまったのかというと今朝に戻る。
「昨日は取り乱してすいません」
オレは菊谷と登校していた。やはり昨日は普段(まぁ普段も怒鳴っているが)より怒鳴っている
回数が多かったのか…。自覚してるだけでも偉い奴だな。原田と違って…。
「気にするなよ。それよりアイドルの仕事はどうだ?この間読んだ雑誌に特集組まれて
インタビューの記事が書いてあったな」
オレが聞くと菊谷が「うぅ…」と息を漏らしながら
「本音が出そうでしたよ。つい好きなテレビは?って聞かれて『笑点』と答えそうでしたよ」
……。コイツはやけに年寄り臭いな…ホントにアイドルか?
「バラエティー番組とかあまり見ないんで」
何でだ?と聞こうとしたら
「おはよー。何の話ししてたの?」
千尋が来たので話題を変えた。
「あぁ。いま人気急上昇中のアイドルの話をしてたんだ」
「『ミカ』ちゃんの話?光が見てるなんて意外だね」
「あ…いや、たまたま見てただけだ」
そのアイドルが千尋の隣にいる人だとは思ってもいないだろうな…。
「そういえばさ、美香もあのアイドルと同じ名前だね~」
何で知られて欲しくない事に関して鋭いんだろな…。
「もう着くし話はここら辺で終わりにしよう」
門をくぐると欠伸しながら高等部棟に入ろうとしていた原田が見えた。
千尋も気付いたようで
「せんぱーい。おはよー」と言った。
相変わらず気に入らないのは原田が女子に人気だということだ。「性根腐れ糞男」がなんで
人気なんだ?皆学校での姿しか知らないからか…?
「おう。おはよー遅刻しないようになー」
しかも低音ボイスで…。色々ムカつく奴だな。
「いつ聴いてもあの低音ボイスはカッコイイね~二人もそう思うでしょ?」
「そうですかね…」と菊谷「良い耳鼻科知ってるぞ今日行くか?」とオレ
「ちょっと!何で分からないの?」
「それは本性をしているからだ」とは言えず鼻で笑って誤魔化した。
授業が始まり菊谷が「授業メンドい」と呟いていた。本性が出てるが大丈夫か?
「はいっ、では木戸さんムッソリーニやヒトラーが作った政治は何?」
何だ?駄目教師が教師らしいぞ。雨でも降るのか?
「ファシズムです」と答えた。思わずクイズを連想してしまったな…。
なんやかんやで授業が終わった。
「はぁ~…。眠い」と菊谷。眠いようなので寝かせるか。
それにしてもあの教師が教師に見えてしょうがなかったな…。
「こっちに来て」と謎のアイコンタクトが届いた。あの教師か…。
「カバーは掛けたからバレないと思うよ」
「バレないようって別に良くないか?」
「いや…これは…読んでからのお楽しみだね」
まぁいいか…これでこの本の正体が分かる。
オレは教室に戻って本を開くと――
「ま、マジかよ…」
男同士で抱き合っている様子が描いてあった。前に竜也から聞いた『腐女子』という単語が
脳裏をよぎった。菊谷…お前の弱みを全て(?)知ってしまったのか…?
オレはこの時、菊谷に本を見られてることに気付いていれば良かったと思っている。
そして今に戻る。
「アンタにはキッチリと責任を取ってもらうよ」
菊谷(絶賛裏が見えてますver)がそう言った。
「な、何だ?無理が無いもので頼む…」
「アタシのマネージャーになって」
「……え?」
「前のマネージャーと喧嘩したからしばらく代理ってことでね」
「……お、おう分かった。そうすれば『アレ』にはならなくていいんだな?」
オレは原田(絶賛失神中)を指差しながら言った。そういうと菊谷が頷いた。
やれやれ面倒事が増えていくな…。
転校生はアイドル!?7話
うす暗いカフェのドアがカランコロンと開いた。
マスター 「いらっしゃい」
原田 「よっすって作者は?どこだ?」
囲 「遅れて来るって言ってたよ」
原田 「今回はセリフは一つだけだな」
囲 「しかも僕は名前だけで一行だよ。最近活躍が少ないよ」
野菜の音「遅れたーって愚痴かよ。今回は前の伏線を回収しなきゃだったから」
原田・囲 「「次回はちゃんと出して!」」
野菜の音「分かったよ。つか執筆期間だけなら1週間でたりたな」
原田 「6月は忙しかったね」
野菜の音「次回は短編で囲と原田目線の話を書くよ」
黒衣の男「次回こそ出してね」
野菜の音「忘れてた!」
マスター 「また会う日まで」