審査員

「えっと……はじめまして、経済学部2年の青木啓太です。よろしくお願いします」

私は×の札を上げた。

「ダメ? 普通すぎるか。じゃあ……青木啓太です! アッキーって呼んでね! ってここでウインク!」

私は×の札を上げた。

「ダメ? じゃあ……青木啓太です。趣味はアニメのDVD鑑賞と、鉄道の写真を撮ることです!」

私は×の札を上げた。

「正直バージョンもダメ? じゃあ……趣味は、サーフィンと料理です! 得意料理はアルデンテパスタです!」

アルデンテはパスタの名前じゃないって。
私は×の札を上げた。

「大嘘バージョンもだめか! じゃあ……」

まったく馬鹿にしてる。
幼馴染の啓太が、初めて合コンに誘われた。だからって、私を呼び出して、「頼む! 自己紹介の審査員をしてくれ! 女で普通に話せるのはお前だけなんだ!」とは、どういう了見だろう。ご丁寧に割り箸とノートの切れ端で○×の札まで作って来られては断れない。

まったく……人の気も知らないで。

「幼児バージョンもダメ? じゃあどうすれば……? ああもう、めんどくさい! 行くのやめようかなー?」

私は○の札を上げた。

審査員

審査員

幼馴染の啓太が初めて合コンに誘われた。だからって、なんで私が審査員??

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更新日
登録日
2017-11-22

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