──船で海を渡った世界より、宇宙は遥かに広い。そして遠い。それでも、この星の裏側の国よりももっと遠くにある星を、人はこの目で見ることができる。海を渡った隣の国と交わるよりもずっと昔から、人々はこの星の動きを読みながら生きてきたのだ。
ここは自分の生まれた国なのか、異国なのかよくわからない。けたたましい音に交じり、美味しそうな食べ物の匂いから、鼻につく香辛料の匂い、そして馬の糞の匂いまでが入り混じり、独特の匂いが漂っていた。