同棲している彼氏、ハルが帰ってこなくなった。 ナツキは二人のこれからについて答えを出そうとするが…… あなたの近くにも居そうな、ありふれたカップルの小さなラブストーリー。
(どうして、こんなに後味の悪い絵本を出すのかしら?)帰宅途中、行きつけの本屋で何気なく手に取った絵本の結末に、早苗は衝撃を受けた。(そりゃ、最近は大人でも絵本を読む人が多いっていうけど、メインの読者は小さな子供じゃない。こんなの読んだら......
物語作家七夕ハル。 略歴:地獄一丁目小学校卒業。爆裂男塾中学校卒業。シーザー高校卒業。アルハンブラ大学卒業。 受賞歴:第1億2千万回虻ちゃん文学賞準入選。第1回バルタザール物語賞大賞。 初代新世界文章協会会長。 世界を哲学する。私の世界はどれほど傷つこうとも、大樹となるだろう。ユグドラシルに似ている。黄昏に全て燃え尽くされようとも、私は進み続ける。かつての物語作家のように。私の考えは、やがて闇に至る。それでも、光は天から降ってくるだろう。 twitter:tanabataharu4 ホームページ「物語作家七夕ハル 救いの物語」 URL:http://tanabataharu.net/wp/
いつかの時代。オレンジ色の屋根が立ち並ぶどこかの町で、時々屋根には青いインクのしみがつくんだって。町の人たちは「ありゃあ、天使さまが歩きなさったんだ」っていうんだ。屋根の上には天使さまがいて、天使さまが歩くとその足跡が青いしみになって残るんだって。 出稼ぎにその町で働き始めた九歳の少年、東洋人の末裔のリュウリの目は不思議。その不思議な目でリュウリは天使さまを見つけてしまったんだ。刷毛みたいな翼の先っぽから、青いインクをぼたぼた垂らしながら、何の気にも留めずのんびり屋根伝いに歩く天使を。 ――これは、翼から空色のペンキを零し続ける天使の少年と、色覚異常を持つ煙突掃除の少年の、三年間の思い出。