言葉になる前に

初めの文章です。読んでみてください!

斜め上で出会いました

あぁ今日も晴れてるなぁ
俺はそんなことを考えて屋上のはしごを登り、少し高いところで昼寝をしようとしていた。
部活はやっていないし、誰かとの用事もない。そしてなにより今日は鍵を忘れてしまって帰っても家に入れない状態なのだ。
良い感じに日当たりがよく、寝るには良い気温だ。心地よい程度に運動部の掛け声や吹奏楽部のいろんな楽器の音がしている。
昼寝場所には最適だ。
目を瞑ろうとしたその時、勢いよく屋上のドアが開いた。
驚いて飛び起き、見てみると女の子が屋上のフェンスに向かって走っている。するとフェンスに足を掛けようとした。
さすがにやばいような気がしたので素早くはしごを降り、女の子の方に走っていった。
女の子はもう両足がフェンスに掛かっていて身を乗り出している。
「早まるなーー!!」
俺は叫びながらその子の腰に抱きつき引っぱった。
「え?!ちょっ...うわぁ!!」
女の子は驚き、バランスを崩して2人一緒に倒れた。
「いってー…、ごめん無理矢理引っ張っちゃって。」
女の子は俺を見て目を見開いたあと俯いて、こちらこそごめんなさいと呟いた。
「…えっと、やっぱそういうのは良くないと思うんだよね。、、あー、うん、いろいろ悩みはあるのはわかるんだけどね、、でも死ぬのは良くないと思います」
全くまとまっていないことを言っているのは自分でも良くわかっているのだけど、こんなことしか言えなかった。
「....俺でよかったら相談にのるからさ、、」
俺が言えるのはこれくらいのことだった。
すると女の子は顔を上げさっきと同じくらい目を見開いている。
長い沈黙の後に女の子は言った。
「…………………彼女はいますか?」
「え?」
ここには俺とこの子しかいない訳だから俺への質問だとは分かるけど、この状況で、え?!
「…いませんけど」
よく分からない質問だけど一応答えた。
女の子は俺の手を両手で握った。
「あの……よかったらあの………付き合ってくれませんか!!、、あ!場所とかじゃなくて、、男女の意味で!」

まずは理由を聞いてみようと思った。
「えっと…あの
「言いたいことはわかります!すみません!でも…でも!大事な人ができたら死にたいって気持ちもなくなると思うんです!だから……」
女の子は顔を真っ赤にして言った。
別に自分に害がある訳ではないし、無理って言って死なれても困るし…
「…きみが良いなら、良い、ですよ。」
「本当ですか!!」
これ以上ないくらい目を輝かせている。さっき死のうとしていた人間とは思えないほど生き生きしていた。
女の子は手を握っていたことを自覚したのかパッとはなして恥じるように俺とは逆の方を向いた。
「まぁ、これからよろしくね」
女の子は振り返り深々とおじぎをしてこちらこそと言った。

言葉になる前に

読んでくださってありがとうございます!
また書きたいと思います。

言葉になる前に

続きます

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更新日
登録日
2016-02-20

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