【不器用な人のための猫の話】
大切な人を想って
読んで貰えると嬉しいです。
大切な事はしっかり言葉で伝えよう
傷つけた側の気持ちも考えよう
大切な人ほど傷つけたくないものです…
側にいないあの人との過去を少しでも
愛おしく 想っているのなら
あなたはまだ間に合うから…
この小説があなたのスタートラインに
なれば幸いです。
大切な人ほど傷つけてしまう…大切な人に傷つけられてしまったそんな不器用な人に
ある男の子が公園で
白い子猫を拾いました。
長い間公園に捨てられていた子猫は
とても愛情に飢えていました。
だから、子猫は思ったのです。
またすぐ捨てられる、と。でも男の子が
子猫を捨てる事はありませんでした。
その日は男の子が子猫を
お風呂に入れてくれ、男の子の
布団で眠らせてくれました。
それから男の子は子猫に
チビ子という名前を付け
可愛いピンクの首輪をくれ、
何日もチビ子のお世話をし続けて
くれました。だから、チビ子は
男の子が大好きになりました。
毎日幸せでした。
スヤスヤ眠るチビ子に小さな声で
男の子は言いました。
『かわいいチビ子 僕がずっと守ってあげる、寂しくなんかさせないよ』と…
でもある日事件が起こったのです。
大好きな男の子のプレゼントに
トカゲを持って行った時の事です。
トカゲに驚いた男の子は
チビ子を怒鳴りつけました。
チビ子は悲しくてつい男の子の手を
引っ掻いてしまいました。
大好きな男の子を傷付けちゃった
捨てられる、公園にいた時
みたいにまた孤独になる…
チビ子は逃げようとしました。
すると男の子は悲しそうに
『ごめんね、僕が悪かったね大好きだよ』
と言いながらチビ子を撫でてくれました。
撫でられたチビ子は
『捨てられるとおもったのに
男の子はチビ子のことすてないんだ』
そう思い心から安心しました。
でもその日から男の子とチビ子の
関係は変ってしまいました。
男の子に怒られて、捨てられると
不安になるたびに安心するため
引っ掻いていたのです。
時には噛み付く事もありました。
男の子の手は傷だらけでした。
優しい男の子の手、撫でられるたび傷跡がチビ子の前をチラつきます。
ごめんね、痛いだろうな。本当は
チビ子の事捨てたいんだろうな
いつしかそう考える様になりました。
考えれば考えるほど不安も増していく。
捨てられる…さみしい
また傷つけてしまう…
そんなある日、怒られてまた不安になり
男の子を引っ掻いたチビ子に
男の子は言いました。
『チビ子!僕もう耐えられない!僕は君を大切に育ててきたのに君はいつも僕を引っ掻いたり噛んだりしてきて…いいかげんにしろ!』
そう言ってチビ子を窓の外に
放りだしました。
季節は冬、雪がちらついています。
チビ子のからだはどんどん
冷えていきます。
帰ろう…公園に…さみしいあの場所に…
公園に着くと大きなタイヤの陰に隠れ
寒さをしのぎました。
温かい男の子の手が恋しい…
捨てられるのが怖くて傷つけちゃったんだ
ってそう言えたら良かったのに…
どうしてにゃおしか言えないの…?
チビ子が元野良じゃなかったらもっと
優しく愛情表現できてたのかな?
たくさんの考えが心を巡ります。
楽しかった思い出も巡ってきます。
男の子はお花が好きだったな、
そうだ!お花なら喜んでくれるかな?
寒くて震えるからだを一生懸命動かし
公園のあちこちを探します。
冬に咲く花なんてめったにありません。
やっと見つけた時にはもうからだは
冷え切り、動けなくなっていました。
苦しいけど男の子の、お家にお花を…
チビ子が道路を渡っている時でした。
キキーーーーーッッ!!!
走ってきた車がチビ子のからだを
弾き飛ばしました。
あ…お花…チビ子…とどけられない
そう思ったのが最期でした。
道路に横たわるチビ子に誰も
見向きもしません。
『…ビ子〜!チビ子!!』
男の子の声が聞こえます。
男の子はやっとチビ子の元に
来たみたいです。
…でももう遅いのです
男の子は泣きました。
来る日も来る日もチビ子の
首輪とお花を眺めては
後悔する毎日です。
一緒に過ごした幸せな日々…
引っ掻いてきたけど本当は
さみしがりで甘え下手なんだって
知っていたのに…もうチビ子はいない
傷ついていたのはお互い様だった…
大切なものは失ってから気づく。
失わないうちに取り戻そう。
男の子はそう決めました。
今年もチビ子のお墓にあのお花が
咲いています。
END
【不器用な人のための猫の話】
大切な人ほど、傷つけてしまうのは
人間の心理ですよね。
傷つけやすいあの人に
傷つけられやすいあの人に
教えてあげて下さい。